【TOP14】トゥールーズ・齋藤直人がトゥーロン戦で大活躍。来季契約延長へ。

現地時間5月10日、トップ14第23節でトゥーロンとトゥールーズが再び激突した。トゥーロンにとっては、約1ヶ月前のチャンピオンズカップ準々決勝で終了間際のPGで惜敗したリベンジマッチ。勝利してこの敗戦で失われた勢いを取り戻したい。
一方、前週のチャンピオンズカップ準決勝でボルドーに敗退、連覇の夢を絶たれたトゥールーズにとっても、トップ14のタイトル防衛のために負けられない一戦。「この試合で重要なのは、選手の姿勢であり、スタッド・トゥールーザンの本来の姿を見せること」とロラン・チュエリコーチは述べていた。
マルセイユのスタッド・ヴェロドロームに会場を移して行われたこの試合に両チームのサポーターが集結し、チケット全66,818枚は完売となった。
試合は序盤から激しい攻防となった。開始10分でトゥーロンに2枚のイエローカードが出される。2枚目はトゥールーズにペナルティトライが与えられたが、トゥーロンもすぐにPGで返す(3-7)。
20分にSOロマン・ンタマックが脳震盪で途中退場する。このポジションをカバーするはずだったFBマチアス・ルミュはすでに負傷退場しており、SOに入ることができるトマ・ラモスは負傷で、フアン=クルス・マリーアは休ませるためメンバーに入っておらず、リザーブに入っていたSHポール・グラウが急遽SOに入り、少し浮ついた時間帯があった。
だが、この日のトゥールーズは凄まじかった。先週、ボルドーに対して自分たちのラグビーができなかった自分たちへの怒りのパワーが炸裂しているようだ。特にFWが圧倒的な力を発揮し、コリジョン、セットピース、ブレイクダウンと、あらゆる局面でトゥーロンを支配する。
前半は14-13とトゥールーズが1点のリードで終えた。ハーフタイムにトゥーロンのHOテディー・ボビニーが「1点差なのは奇跡だ」と言うぐらい、全てのエリアでトゥールーズがトゥーロンを上回り、トライチャンスも作っているが、得点に繋げることができない。
ただ、前半終了間際、すでにイエローカードを1枚受けていたトゥーロンのSHバティスト・セランが2枚目のイエローカードを受け、レッドカードとなり退場となった。トゥーロンは、後半40分を14人で戦わなければならないだけでなく、キャプテンで、戦略的、精神的支柱を失った。
48分にトゥールーズがFWの縦への突進で繋ぎ、SH齋藤直人が密集から素早く出したボールをWTBアンジュ・カプオッゾが受け、倒されながらも外側についていたCTBサンチャゴ・チョコバレスに繋ぎトライを奪う(19-13)。しかしトゥーロンもPGで3点追加して食い下がる(19-16)。
トゥールーズはベンチメンバーを投入しペースアップする。一方、人数が少ないトゥーロンに疲れが見えてきた。
58分に敵ゴール前スクラムからボールを持ち出したNO8テオ・ンタマックのボールを受け取った齋藤がトライラインを超え24-16。65分にはBKがパスを繋ぎ、最後にCTBポール・コストがトライ(29-16)。さらに68分には齋藤のハイパントをCTBピエール=ルイ・バラシがキャッチ、テオ・ンタマックのキャリーで大きく前進すると、密集からグラウのパスを受け取ったLOチボー・フラマンが逆サイドで待っているカプオッゾに20mのロングパスを飛ばし、大外でボールを呼んでいたWTBマチス・ルベルが仕上げた(36-16)。
その後もトゥールーズは2トライを加え、50-16とトゥーロンを打ちのめした。
齋藤は79分にベンチに下がった。50分を過ぎた頃にメディカルスタッフに脚をマッサージされていた。攣っていたのだろう。それでも齋藤はよく動き、常にボールにつき、素早く球出しし、緩急つけてテンポを調整、キックとパスの選択も良かった。これまでどこか躊躇している部分が感じられ、「コミュニケーションがとれていないのでは」、「自信を失っているのでは」と言われていたが、この試合ではチームによりフィットしている印象を受けた。彼のトゥールーズでのベストゲームと言えるだろう。
現地ラグビー紙「ミディ・オランピック」は、クラブからの正式な発表はないものの、齋藤のトゥールーズとの契約が1年延長される見込みであると報道。今後の活躍が期待される。
この試合後、トゥールーズのユーゴ・モラ ヘッドコーチ(以下、HC)は、「ボールを保持し、試み、プレーし、大胆に、より果敢になる。これらは先週、我々ができなかったこと。いつまでも引きずるつもりはないが、この勝利は私の怒りをさらに強くする。先週、我々は正しい鍵を見つけることができなかった。我々は常に自分たちを見つめ直します。今日のプレーが一過性の感情的な反応であってはならないからです。リーグ戦は残り3試合あり、すでに準決勝進出を決めていても、我々が望むのは首位で終えること。最後まで戦い続けなければならない」と語った。
トゥールーズは負傷者が続出している。すでに、SHアントワンヌ・デュポン、HOペアト・モヴァカが今季絶望となる中、この試合でンタマックも脳震盪で途中退場。2週間はピッチを離れる。彼は手術した膝の痛みも抱えている。WTBブレア・キングホーンとFBトマ・ラモスの復帰が待たれる。
一方、ホームで大敗を喫したトゥーロンのピエール・ミニョニHCは、「大きな失望です。しかし、選手たちは持ちこたえようとした。数的劣勢でも仕事をやり遂げようとしたが、最後は力尽きてしまった。私たちは団結し、来週の試合にすぐに集中しなければならない。もっと良いラグビーができると信じている。準々決勝で敗れてから少し苦戦しているが、シーズンを通してそれを示してきたのだから、胸を張って向かう」とコメントした。