負けても輝く。イーグルスのビリー・ハーモンは「全てが悪いわけではない」

横浜キヤノンイーグルスのビリー・ハーモンは、過大評価も過小評価もしなかった。
4月27日、静岡・エコパスタジアム。ジャパンラグビーリーグワン1部・第16節で、静岡ブルーレヴズに28-38で敗れていた。
一時は21点リードもじりじりと追い上げられ、逆転されてからの猛攻もむなしく10点差で屈したのだ。
入団1年目のタフガイは、よさと問題点を整理していた。
「(ブルーレヴズ戦の)負けは悔しいです。大事な時に遂行力が足りなかった。一方、ブルーレヴズは、チャンスをものにした。ただ、自分たちもいいラグビーができていました。全てが悪いわけではない」
ノーサイド直前には28-31と4点差に迫り、さらに反撃に出た。フェーズを重ね、反則を誘い、かつ、攻め続けた。
最後はこぼれ球を相手SHの北村瞬太郎に拾われ、そのままだめを押されてしまう。ただ、それを味方WTBの石田吉平がぎりぎりまで追いかけていた。北村に「びっくりしました。いままでだと、(独走していた)あそこは『流して、トライ…』だったのですが…」と言わしめた。
ハーモンは続ける。
「吉平も最後までチェイス。諦めずに戦い続けました。チームを思う気持ちの強さが現れていました。どれだけ勝利にこだわったかも見られたと思います」
チームは過去5戦を1勝4敗とし、12チーム中7位に停滞している。レギュラーシーズンをあと2試合とするなか、6傑からなるプレーオフ行きへ厳しい道のりを歩んでいる。この流れについて聞かれても、つとめて前を向く。
「接戦も、いいラグビーができた試合もある(この2試合はわずか10点差で敗北)。ただ、ほんの数分スイッチが切れる瞬間があり、その隙を突かれていました。努力していないわけではない。また、選手、コーチをどうのこうのと言うつもりはない。ラグビーは、そういうものです。(結果は)この大会の競争力の高さを物語っている。試合の日に絶好調でないと、なかなか勝ちはもらえない」
身長187センチ、体重104キロの30歳。FW第3列を主戦場とする。来日前はマオリ・オールブラックスで主将を務めるなど、母国ニュージーランドで実績を積んできた。
昨年度まで2季連続4強入りのイーグルスでも、存在感を発揮してきた。地上戦で身体を張り、球を持てば粘り腰で前進した。
やや苦しいチーム状況にあってもハイパフォーマンスを発揮するわけを聞かれ、こう即答する。
「自分の仕事をしているだけ。日本でプレーするチャンスをもらえたことも感謝をしているのです。チームのために自分の仕事を全力でやっているだけです。常に勝ちたいし、ベストを尽くしたい」
5月4日の第17節、続く10日の第18節はいずれも東京・秩父宮ラグビー場でおこない、コベルコ神戸スティーラーズ、東芝ブレイブルーパス東京と、すでにプレーオフ行きを決めたクラブとそれぞれぶつかる。
プレーオフの舞台へ立つべく、ハーモンは「現在の順位はさておき、残り2試合で勝つ。最後まで諦めずに(出場権を)獲りにいきたい」と頷く。