国内 2025.03.05

イーグルス殊勲のマシュー・フィリップ ラインアウト改善への「責任」。

[ 向 風見也 ]
イーグルス殊勲のマシュー・フィリップ ラインアウト改善への「責任」。
(中央)ブレイクダウンで奮闘するマシュー・フィリップ[横浜E]©︎JRLO

 踏ん張るべきところで踏ん張った。

 3月2日、東京・秩父宮ラグビー場。横浜キヤノンイーグルスのマシュー・フィリップは、加盟する国内リーグワン1部の第10節へ持ち場のLOで先発していた。

 東京サントリーサンゴリアスとぶつかっていた。戦前の順位でひとつしか違わない好敵手との一番で、前半19分頃、ピンチを防いだ。自陣ゴール前右で向こう作ったがモールへ、腕、身体を差し込んだ。他のメンバーが身を挺したのもあり、トライラインを死守できた。

 折しも、イエローカードで数的不利を強いられていた。この難局をしのいだことで、ファンを安堵させた。身長201センチ、体重117キロの伏兵は、件の局面をかく振り返る。

「かなり練習で時間かけてやっているプレーです。ハードワークの成果が出たのは嬉しいです。モールディフェンスは、テクニックよりも気持ちの部分が重要です」

 前節では昇格2年目の三重ホンダヒートに17-20で屈し、3連敗を喫していた。その時点で12チーム中6位。上位6傑によるプレーオフ行きへ、無形の重圧と向き合っていた。

 クラブのエネルギーが試されていた重要な一戦において、突進、タックルで献身した。接点に身体を差し込んでは、サンゴリアスの攻めを鈍らせた。

 ラインアウトでも光った。

 前節、あまり自軍ボールを確保できなかったのを受け、投入役であるHOの中村駿太と改めて対話。自身が任される捕球位置のチョイスについて、考えを新たにしていた。

 サンゴリアス戦では、12本すべてを成功させた。71分間プレーの5番は言う。

「戦術的なことはあまり明かせませんが、『空いているところで、捕る』としました。駿太のことは信頼しています。スローワーとしても優秀。ラインアウトは自分の担当で、何があっても他人の責任にはできません」

 母国のオーストラリア代表として、2023年のワールドカップフランス大会などで計31キャップ(代表戦出場数)を記録した。

 3月7日に31歳となる。過去にはスーパーラグビーに加盟していたフォース、レベルズ、フランスのポーでプレーしてきた。前年度より加わったイーグルスでは、練習強度のタフさに感銘を受けているという。

「高いレベルでトレーニングができているから、このような結果(2シーズン連続で4強入り)を出せているのだと思います」

 今度のサンゴリアス戦は33-22で制し、12チーム中5位に浮上した。3月中旬に再開するレギュラーシーズンを通し、3季連続でのプレーオフ行きとその先を目指す。

「ここから挽回し、強い形でファイナルに行ければいい。(目標は)チャンピオンになることです」

PICK UP