「僕らは仲良しクラブではない」。ダイナボアーズ、連敗脱出の裏にあった高め合い。
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3試合ぶりの勝利以上に、試合を迎えるまでの過程に価値があった。
リーグワンD1最年長、40歳を迎えた安江祥光はそう誇る。
「いい準備ができたことが、チームとして一番重要だったと思います」
三菱重工相模原ダイナボアーズは2月9日、第7節でトヨタヴェルブリッツを44-40で破った。
前節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦では12-40で完敗。敗因は幾度も反則を重ねたスクラムだった。
ヴェルブリッツ戦ではその反省を生かす。相手のパックを押し込み、ペナルティを複数回誘ってみせた。
安江はその要因に、「試合までの1週間でスタートとリザーブですごくやり合えた」ことを挙げる。
「それまでもお互い必死に組み合ってきたのですが、相手がどういう組み方をしてくるのか、どういうことが苦手なのか、われわれの強さはどこなのか…。深く踏み込んだ細かいディテールまで詰められました」
組んだ時の感触を対面に惜しみなく伝えた。その指摘は時に、棘のある言葉にもなりうる。
「でも僕らは仲良しクラブではないので。オブラートに包まずに厳しい意見を言い合えました」
安江自身は今季初出場だった。ダイナボアーズに加入した2016年以来、6試合連続で出番がなかったのは初めてのこと。
ケガではない。「若い選手たちも頑張ってくれてますから」と冷静だった。
今季はここまで、三重ホンダヒートから移籍してきた李承爀が全試合で背番号2をつけ、宮里侑樹がリザーブに入った。
「試合に出られない悔しさがなくなってしまったら、もう引退かなと思っています。でもいまは、試合に出たいという気持ちが湧き上がってくる以上、腐っている暇はありません。いつでも出られるように、チームが勝つための準備をするだけでした」
いざコーチ陣からのコールを受ければ、自分の役割を理解し、実行に移した。
後半25分からグラウンドに立ち、ヴェルブリッツの猛攻を凌いだ。
「先週のゲームから反省する内容(スクラム)がすごく明確で、その中で僕が起用された。自分のやる仕事は明確でした」
若手の台頭を歓迎しつつ、自身は「コンディションはベストです。キャリアハイ」と笑顔を見せる。
「新しい取り組みをしているわけではありません。なにか新しい種を植えるのではなく、ひとつの木の年輪を増やして幹を太くしていく。それがチームのDNAでもあります」
2月16日の三重ホンダヒート戦にもメンバー入りした。
今季初の連勝となれば、より自信も深まる。
「たった1週間ですけど、細かいディテールを詰めれば、こんなにもチームが変われた。そのことはチームにも言い続けていきたいです」