【サクラフィフティーン PICK UP PLAYERS】待望の復帰。細川恭子[FL・NO8/三重パールズ]
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コリジョンでもっとも力を発揮する、サクラフィフティーンの頼もしいバックローが帰ってきた。
三重パールズの細川恭子は長い間、ケガとの戦いに苦しんでいた。
初めて出場した2年前のW杯の最終戦で、左足のハムストリングスを肉離れ。半年ほどのリハビリから復帰する直前に、今度は左膝の前十字靭帯を断裂した。
ようやく復帰できたのは、8月のアメリカ戦だ。
長期間の離脱は「厳しかった」と気落ちすることもあったが、決してめげなかった。
「W杯がいまの私の原動力です。3戦3敗で終えたことが本当に悔しくて、来年のW杯では絶対に結果を残そうと思っています。その大きな目標に向かってメンタルを持っていくことができました」
レスリー・マッケンジーHCがマメに連絡をくれたことも大きかった。
「この試合、この合宿を目標に復帰してほしいと。近い目標をくれました。待ってくれていると感じたし、信頼してくれてありがたかったです」
入院生活で体重は一時10㌔も落ちたが、ルーク・ヴァスS&Cコーチ(現・S愛知)のもと、厳しいリハビリを乗り越えた。朝6時から始まるウエートでは、2時間みっちり上半身を追い込む。目標体重に到達してなければ、その場でおにぎりを3個頬張る日もあった。
その甲斐あって、半年で体重は12㌔ほど増加。受傷前よりも重くなった。ベンチプレスでも10㌔近くベスト記録を更新した。強くなって戻ってきたのだ。
兵庫県出身。テニスをしていた叔母の影響で、幼少期からテニスに励んだ(中学は軟式)。しかし、「高校からは違うスポーツがしたい」と、女子ラグビー部のある神戸甲北に進学。代表、パールズでもチームメイトの北野和子らと同級生になった。
15人制に目覚めたのは高校2年時。体格を生かしたプレーで、コベルコカップやU18花園女子15人制で活躍できた。
「15人制が楽しいと感じて、ラグビーを続けるきっかけになりました」
いまに繋がる武器は、進学先の日体大で手に入れる。
「チームがインプレーを長くして走り勝つスタイルだったので、コンタクトフィットネスの練習は本当にきつかったです。練習前は泣きそうになりながらグラウンドに向かっていました」
鍛え抜かれた強靭な足腰で、コンタクト局面では必ず前に出る。女子イングランド代表主将のFLマリー・パッカーに倣う。
「コンタクトの時の顔は鬼の形相とみんなにいじられるのですが(笑)、彼女も闘争心むき出しで激しいです。私もアタックでもディフェンスでもフィジカルの強さでは誰にも負けたくないです」
その激しさを表す、ヘッドキャップの色はオレンジ&青と個性的。SOの山本実が、日体大卒業時に3学年下の後輩に譲ったものだ。ただ、長年愛用してきたから、劣化も激しい。近々、CTBの中山潮音から譲り受けた、緑のヘッドキャップを被る予定という。
「尊敬する先輩たちのヘッドキャップを被れるのは光栄なことです。頑張る原動力になります」
これでW杯でも、臆せずぶち当たれる。
(文/明石尚之)
※ラグビーマガジン2月号(12月24日発売)の「女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は12月16日時点。