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【連載】プロクラブのすすめ⑳ 山谷拓志社長[静岡ブルーレヴズ] ホストスタジアムを持つ価値。
――ただ、ブルーレヴズはスタジアムの確保は比較的スムーズに映ります。ライセンスがなくても良いのでは。
いえいえ。我々も希望の日程でたやすく確保できるわけではありません。ジュビロ磐田さんとはしっかりコミュニケーションをとり、協議しながら進めています。
Jリーグが秋春制になるとシーズンが被って余計にスタジアムが取りにくくなると言われていますが、これはむしろ逆だと思っています。秋春制になった方が、スタジアムは間違いなく取りやすくなります。
我々がスタジアムを確保するタイミングと同時に、Jリーグのスケジュールが明らかになるからです。むしろ、今はそれが分かっていないから確保に苦しんでいる。
現状ではJリーグの日程がみえてくる1月頃まで会場が確定できないんです。だから、リーグワンでは年明け2月〜5月のスタジアムや日程をなかなか発表できていないし、その状況ではシーズンチケットも売りにくくなってしまっているんです。
Jリーグと同じタイミングで日程を調整していくことができれば、「空いている日はどうぞ使ってください」となりますし、運営は大変ですがサッカーが土曜日でラグビーが日曜日というような調整もできるわけです。それに、自治体から「Jリーグの日程が決まるまで待ってください」と言われることもなくなります。
レギュラーシーズンの日程や会場がシーズンの最初から明確になっていれば、それこそシーズンチケットはもっと売れるはずです。
そうした状況になれば、このスタジアムを本当にホストスタジアムにするべきなのか、このエリアをホストエリアにすべきなのかという、もっと本質的な問いが浮かんでくるはず。
Jリーグでこれだけスタジアムを使われるのであれば、他の地域に行こうとか、他のスタジアムでやろうとなっていくと思うんです。
僕が評価をするのはすごくおこがましいのですが、ホンダ(三重ホンダヒート)さんが2026-27シーズンから栃木の宇都宮に移転することは正解だと思っています。
もちろん、鈴鹿や三重の皆さんからすると寂しいと思いますが、栃木県ではグリーンスタジアムという球技専用のスタジアムが現在はJリーグでほとんど使われなくなっている状況で、LRTという路面電車ができてアクセスも良くなっている。
東京に近いとはいえ地方都市ですし、僕も宇都宮でバスケットボールクラブを経営していたので、すごくポテンシャルがある地域であることは間違いないと言い切れます。
――スタジアムの確保で苦労しているのは、基本的に首都圏のクラブです。そうしたクラブからライセンスの声は上がらないのでしょうか。
他のクラブの方といろいろ話をしていると、はやくライセンスをつくってほしいという声は耳にします。ライセンスがないから、やはり自治体と交渉しにくいと。
ただ、クラブによっては一つのスタジアムでなく、いろんなスタジアムや複数の地域で試合をしたいというクラブもおそらくあるのではないかと思います。トップリーグの時と同じように、ラグビーの普及のためにさまざまな地域でやることが大事だと。それはそれで良いと思います。だとすれば、トップリーグの時のようにホストスタジアムを持たず、全国各地で試合をするというリーグを別に作ればいいんです。
多種多様な価値観のクラブを一緒にして1部2部3部リーグと分けるのではなく、クラブの価値観に合わせたリーグを別々につくり、かたやライセンスで縛りホストエリアに大きなスタジアムをもってビジネスで拡大再生産し、ラグビーの価値をドライブしていくリーグ。かたや、どんなクラブでも参入が容易で全国各地で試合をしてラグビーを普及していくリーグ。
そのようにクラブの目指す方向性や価値観でリーグを棲み分けていくことが、本当の意味で多様性を尊重することなんだと思います。
PROFILE
やまや・たかし
1970年6月24日生まれ。東京都出身。日本選手権(ラグビー)で慶大がトヨタ自動車を破る試合を見て慶應高に進学も、アメフトを始める。慶大経済学部卒業後、リクルート入社(シーガルズ入部)。’07年にリンクスポーツエンターテイメント(宇都宮ブレックス運営会社)の代表取締役に就任。’13年にJBL専務理事を務め、’14年には経営難だった茨城ロボッツ・スポーツエンターテイメント(茨城ロボッツ運営会社)の代表取締役社長に就任。再建を託され、’21年にB1リーグ昇格を達成。同年7月、静岡ブルーレヴズ株式会社代表取締役社長に就任




