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【連載】プロクラブのすすめ⑳ 山谷拓志社長[静岡ブルーレヴズ] ホストスタジアムを持つ価値。
――シーズンチケットの購入が増えれば、それだけ経営も安定する。
そうですね。シーズンチケットの比率が高いことは、クラブとしてはすごく大事です。
今季は平均観客数8500人を目指している中で、10%近い800枚を売ることができればまずまずの良い数字。今後その比率を30%、50%と高めていければ、経営が安定するだけでなく、試合単位チケットの数が少なくなりその分希少性が高まるので、高くても買いたいということに繋がっていく。
NFL(全米プロアメフトリーグ)ではほとんどの席がシーズンチケットで売れてしまい、1試合単品のチケットを買うのはかなり困難です。なので2次流通で需要に応じて値が上がっていく。そうした状況を作っていきたいですね。
――この施策を打てたのも、顧客データを地道に分析してアプローチした結果でしょうか。
今季のシーズンチケットはヤマハスタジアム7試合のうち6試合ほど行けば元が取れるように価格設定をしています。
ということは、昨季シーズンチケットを買わずに6試合来てくれた人がいれば、オススメしたほうがいいわけです。データを取っていることでそうした方が分かるので、地道にメールでレコメンデーションを送っています。その成果も出ていると思います。
――意外とそうした方は多いのですか。
多いですよ。ただ、これは電車の回数券を最初に買おうかどうか迷うことと同じような心理状況だと思います。
何度も試合に行かないからと思って単品で買っていたけど、結果的に回数券を買った方がお得だったとか。そのお得感にまだ気づいていない方もいるのではないかと思います。
ただシーズンチケットという商品は、基本的にホストゲームを複数のスタジアムで開催していると商品化しづらいものなんです。
それぞれのスタジアムの形状や座席のクオリティも異なるので、例えばヤマハスタジアムの「Aの10番」の席は他のスタジアムだとどこにあたるのか、紐付けていくことは実は難しい。シーズンチケットを多く売りたいのであれば、おのずと一つのスタジアムでホストゲームを開催したいとなるはずです。
――ただ、現実としてホストゲームを一つのスタジアムで回すのは難しい。
これはこの連載で何度も話していることですが、リーグがライセンスとしてホストスタジアムの条件を定めていないことによって、逆に確保することが難しくなってしまっているのだと思います。
リーグがそうした縛りを設けなければ、クラブ側からすれば自治体と交渉する材料がないわけです。ライセンスがあれば、「このエリアで◯人収容のスタジアムを◯回試合ができなければ、我々はこのリーグに参入できなくなる」と言える。自治体からすれば、自分たちのせいでそうなってしまうことは嫌なはずですし、それにプロスポーツクラブが地元にあることにとても大きな価値があると理解されていれば、スタジアムを優先的に割り当ててもらうことができるわけです。
ただ、いまのリーグワンではライセンスを設けると、その条件を満たせないクラブが出て上位リーグに参入できなくなると母体企業が支援しなくなってしまうのではないかと考えてしまっている。
でもラグビーの価値を信じているのであれば、企業からの支援がなくなることはないと思っていますし、むしろそうしたライセンスをクリアするためにどうするか、という方向に動くと思っています。
JリーグでもBリーグでも過去に同じような議論があり、はじめは無理だと各クラブは反対していました。でも、Bリーグは今では会場を確保するだけでなく、新しく作らせるところまでライセンスの効力が発揮されていますよね。そのおかげで、あれだけの新しいアリーナ建設が進んでいます。




