ニコラス・マクカラン、日本代表の『超速ラグビー』を語る。
ラグビー日本代表にあって、ニコラス・マクカランがインサイドCTBのレギュラー定着に迫っている。
8月下旬から約1か月間あったパシフィックネーションズカップ(PNC)の全試合で先発。鋭い出足のタックルやチャンスメイクで存在感を発揮。アウトサイドのディラン・ライリーとの連携も深める。
活動期間中は一緒にカフェや寿司屋に出かけることもあるだけに、こう微笑んだ。
「普段から自然体でプレーしている。その強みがPNCでのプレーに現れた。また2人はオフ・ザ・フィールドでも仲がいい。それも(コンビネーションが)よかった理由のひとつかもしれません」
身長188センチ、体重93キロの28歳は2017年に来日。2歳年上の兄で現リコーブラックラムズ東京のブロディが先に在籍の帝京大へ入り、1年時は大学選手権7連覇を達成。当時の主将、副将だった堀越康介、尾崎晟也が日本代表に選ばれるのを見て、自分もその輪に加わりたいと思った。
初のジャパン入りは2023年。その思い出は苦いものだった。同年のワールドカップフランス大会へのセレクションに参加も、事前のゲームでチャンスをもらえず選外となった。
決して、腐らなかった。
「去年はトレーニングでベストパフォーマンスを発揮できなかったかもしれず、大会前で試合に出るチャンスをもらえずにいました。ただ、トレーニングを続けていたらいずれチャンスは来ると思っていました」
所属していた東芝ブレイブルーパス東京で、フィジカリティの強化に励んだ。果たしてクラブのリーグワン制覇に喜び、まもなく代表入りした。
エディー・ジョーンズヘッドコーチが『超速ラグビー』を謳ういまのナショナルチームにあって、トライアルアンドエラーに挑む。
準優勝に終わったPNCでの課題を「ボールを地面に落とすこと。ノックオンにならなかったにせよ(パスを)後ろにそらすなど、流れを止めることが多かった」としつつ、「一貫したパスワークができれば、より相手を圧倒できる」。目下、球の受け手が相手防御の近い位置へ走り込む、細かく繋ぐといったスタイルを習得中だ。
「自分たちのスタイルはどうしてもエラーが起きやすい。ここまで一緒にいる時間も長いですが、もっとお互いに助け合って、密なコミュニケーションを取る必要があります」
チームは一時解散の後、10月13日から再始動。宮崎でのキャンプ中も、スマートフォンを起動させて仲のいい兄とよく話すという。
「常にサポートしてもらっています」
今度のキャンペーンでの初戦は26日に神奈川・日産スタジアムであり、母国のニュージーランド代表が相手だ。ワールドカップを3度制した通称「オールブラックス」を向こうに、マクカランは興奮する。
「是非この試合のメンバーに選ばれてプレーしたい気持ちです。ニュージーランドでラグビーをした子どもなら誰しもオールブラックスでプレーしたいもの。私にとっても夢の対象でした。そのチームと対戦できる試合は、特別です」
このほどトヨタヴェルヴリッツに移籍したチャンスメーカーは、オールブラックス戦当日、向こうの国歌をフィールドのどこで、どんな心境で聞くだろうか。