強くなって復帰。北野和子[女子日本代表・三重パールズ/PR]
ケガする前よりもパワフルになって戻ってきた。
右PRの北野和子は、昨年6月にアキレス腱を負傷。復帰まで9か月の時を要した。
「それまでは長くても4か月くらいだったので、『9か月かあ』とは思いました。最初は焦りました」
幸運だったのは、北野のケガと同時期にパールズに加入したルーク・ヴァスS&Cコーチとの出会いだ。ヴァスコーチは女子のハリケーンズやワラタスでの指導歴を持つ。
「メニューの中身がすごく良くて、ついていけばいいと思えました」
同コーチのもと、上半身のウェートに励めば、驚くほどの重量を挙げられるようになった。「1週間に2回は吐くほど食え」と助言され、体重も85㌔から92㌔まで増量。「接点は前よりも強くなった状態で戻れている」と思えるまでにパワーアップできた。
「ただ、ラグビーのブランクはさすがに感じました。練習や試合で数をこなすしかない。もっとフィットネスを上げたいです」
ラグビーを始めたのは、自宅から徒歩で通える兵庫の甲北高校入学後だ。同校には女子ラグビー部があり、北野の在籍時は「20人程度」部員がいたという。同級生の一人は、同じくジャパンのFL細川恭子だ。
「兄2人と弟は小さい時からラグビーをしていて。私自身はやる気なかったけど、甲北はみんな初心者だし女子だけならやってみようかなと」
いま強みとするフィジカルやコンタクトは、RKUグレースでの厳しい練習で培う。
「姫」の愛称がついたのもこの時だ。
「虫がすごく苦手で。寮に結構ゴキブリ出るんです。それでキャーって叫んでいたら、周りから『普段の感じと全然ちゃうやん』と」
社会人1年目で掴んだW杯行きは、苦い経験で終わった。出番はなかなか来ず、出場は第3戦のアメリカ戦での17分のみだった。
「気持ち的にしんどいことが多くて、自分にとってあまりいい思い出ではありません。それをレスリーさんと話した時に、最初のW杯はみんなにとってもそういうものだし、逆にそういうものであってほしいと言われました」
今、あの時の悔しさを糧に努力できる。燃え上がった闘志を持って、2度目のW杯に向かう。
※ラグビーマガジン9月号(7月25日発売)の「フィジー代表とのテストシリーズ」掲載情報を再掲