日本代表 2024.08.23

強くなって復帰。北野和子[女子日本代表・三重パールズ/PR]

[ 編集部 ]
強くなって復帰。北野和子[女子日本代表・三重パールズ/PR]
W杯2021NZ大会で唯一出場したアメリカ戦(撮影:松本かおり)

 ケガする前よりもパワフルになって戻ってきた。

 右PRの北野和子は、昨年6月にアキレス腱を負傷。復帰まで9か月の時を要した。
「それまでは長くても4か月くらいだったので、『9か月かあ』とは思いました。最初は焦りました」

 幸運だったのは、北野のケガと同時期にパールズに加入したルーク・ヴァスS&Cコーチとの出会いだ。ヴァスコーチは女子のハリケーンズやワラタスでの指導歴を持つ。

「メニューの中身がすごく良くて、ついていけばいいと思えました」

 同コーチのもと、上半身のウェートに励めば、驚くほどの重量を挙げられるようになった。「1週間に2回は吐くほど食え」と助言され、体重も85㌔から92㌔まで増量。「接点は前よりも強くなった状態で戻れている」と思えるまでにパワーアップできた。

「ただ、ラグビーのブランクはさすがに感じました。練習や試合で数をこなすしかない。もっとフィットネスを上げたいです」

 ラグビーを始めたのは、自宅から徒歩で通える兵庫の甲北高校入学後だ。同校には女子ラグビー部があり、北野の在籍時は「20人程度」部員がいたという。同級生の一人は、同じくジャパンのFL細川恭子だ。

「兄2人と弟は小さい時からラグビーをしていて。私自身はやる気なかったけど、甲北はみんな初心者だし女子だけならやってみようかなと」

 いま強みとするフィジカルやコンタクトは、RKUグレースでの厳しい練習で培う。

「姫」の愛称がついたのもこの時だ。
「虫がすごく苦手で。寮に結構ゴキブリ出るんです。それでキャーって叫んでいたら、周りから『普段の感じと全然ちゃうやん』と」

 社会人1年目で掴んだW杯行きは、苦い経験で終わった。出番はなかなか来ず、出場は第3戦のアメリカ戦での17分のみだった。

「気持ち的にしんどいことが多くて、自分にとってあまりいい思い出ではありません。それをレスリーさんと話した時に、最初のW杯はみんなにとってもそういうものだし、逆にそういうものであってほしいと言われました」

 今、あの時の悔しさを糧に努力できる。燃え上がった闘志を持って、2度目のW杯に向かう。

※ラグビーマガジン9月号(7月25日発売)の「フィジー代表とのテストシリーズ」掲載情報を再掲

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