日本代表 2024.07.25

テストマッチで負けたら「申し訳ない」。日本代表・原田衛の自覚。

[ 向 風見也 ]
テストマッチで負けたら「申し訳ない」。日本代表・原田衛の自覚。
イタリア戦に2番で先発出場した原田衛(中央)(撮影:早浪章弘)

 目標のひとつを達成した。ラグビー日本代表に入った。

 25歳の原田衛が口元を緩める。

「想像以上に練習がきつくて、『これが日本代表なのか』と」

 話をしたのは7月下旬。なりたかった日本代表になる前と、なった後の違いについて聞かれた時だ。

 6月6日に宮崎合宿を始めてから、約6週間を過ごしていた。その間、若手中心のJAPAN  XVのキャンプも組まれる中、関連活動へフル参加してきていた。

 確かにいまの日本代表は、タフなセッションを敢行する。約9年ぶりに再登板のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが、「ロケットスタート」という早朝練習を皮切りに1日複数回のトレーニングを指揮。原田は必死に食らいつきながら、想像力を膨らませる。

 所属先である東芝ブレイブルールーパス東京の先輩で、FW第3列としてワールドカップ4度出場のリーチ マイケルを例に出す。

「これ(代表活動)を長年やっているリーチさんを、さらに尊敬する感じになりました。続けていくのは、相当な精神力が必要です」

 昨年末から今年5月までの国内リーグワン1部では、ブレイブルールーパスの副将として初優勝を叶えた。身長175センチ、体重101キロのボディに搭載した強靭さ、軽やかさを活かし、最前列中央のHOとしてリーグのベストフィフティーンに選ばれた。

 日本代表には、シーズン中にあった「15人制男子トレーニングスコッド福岡合宿」を経て加わった。ジョーンズの唱える「超速ラグビー」というコンセプトへ、前向きにコミットする。

「全員がアタックでオプションになって、全員が走って…。いままで見たことがない、世界がやっていないラグビーというか…そういうものを、目指している」

 テストマッチ(代表戦)でデビューしたのは6月22日。対するイングランド代表は日本代表にとって、昨秋のワールドカップフランス大会で負けた相手でもあった。

 東京・国立競技場でのこの一戦を17-52で落とした原田だったが、ジョーンズからの評価は落とさなかった。その後に2週間ほど動いたJAPAN XVでは、ワールドカップ経験者でSHの齋藤直人と共同主将を務めた。

 リーダーとして何を意識するか。冗談交じりに言った。

「練習態度、私生活で、選手の見本になれるよう示していくことだと思います。(チーム内では)年齢がごちゃごちゃ過ぎて、誰が年上で…というの(上下関係の把握)は難しいですけど、基本的に全部、偉そうに喋っています」

 強豪国に勝つにはどうすべきか。その話題にも、実感を込めて応じられるようになったか。

 自らより大柄な走者やタックラーとの「接点」に立ち向かうことから、全てが始まると述べた。

「接点で負けないことが一番、大事かなと。ディフェンスでも、アタックでも、びびらずに。(相手は)でかいですけど、立ち向かっていくこと、勇気が必要かなと思います」

 今度のキャンペーンの最終戦は、7月21日にあった。札幌ドームでのイタリア代表戦だ。非テストマッチを含めた5試合全てでスターターを担うこととなった原田は、49分間、フィールドに立った。「びびらず」に、果敢にランを仕掛けた。

 それでも、14-42で完敗した。このシリーズの戦績を1勝4敗とした。

 6月以降の実戦で手応えがあったかと問われ、「あった、と思っていたんですけど、きょうの試合があんまりよくなかったんで…」。気落ちしていたような。

 この午後はイタリア代表の複層的な攻め、接点での圧力に後手を踏まされていた。この日登録の23人中15名がキャップ数をひと桁台とするなか、原田が課題を口にした。

「このチームでずっとやって(メンバーを固めて動いて)いれば、だんだん(相手の動きへの)適応力がついてくると思うんですけど…。まだまだ経験が足りてないかなと思います」

 ボール投入役を担う空中戦のラインアウトでも、失敗を重ねた。球を後ろにそらしたり、スティールされたりした。

 原田は本来なら相手に先んじで味方を並べ、ジャンプさせたかったが、そうならなかったために「僕のスローにもプレッシャーかかってしまった」。サインの伝達にも誤りがあった。

 ずっと日本代表になりたかった原田が、日本代表になったいまもクリアしていないミッションがある。

 日本代表として、強敵国を倒すことだ。

 このグループに選出される前から、原田は「日本代表(になること)よりも、世界で戦うところを目標にしているので」と強調していた。

 欲しているテストマッチでの白星を手にできないいま、どんな気持ちでいるのだろうか。

「申し訳ないですね。日本を代表して戦って結果が出てないので、そこは残念です」
 自身が悔しさを覚えているうえ、応援してくれている人に謝りたくもなる。ナショナルチームが公のグループであると、深く認識する。自分の勝負は、皆の勝負でもあると捉える。

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