日本代表 2024.07.21

好機逃した「コミュニケーションミス」。日本代表、大敗のイタリア代表戦をどう見るか。

[ 向 風見也 ]
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好機逃した「コミュニケーションミス」。日本代表、大敗のイタリア代表戦をどう見るか。
リーチ マイケル(中央)。ラインアウトでの「ズレ」を感じた(撮影:早浪章弘)

 現時点での底力の違いか。

 イタリア代表がイエローカードで数的不利を強いられていた約26分の間、日本代表はわずか7得点。戦前の世界ランクで6つ上回る8位のイタリア代表に14-42で敗れた。

 イタリア代表が段階的な強化を奏功させているのに対し、日本代表は体制刷新と若返りをして間もない。約9年ぶり復帰のエディー・ジョーンズヘッドコーチは潔かった。

「あいにくながらこれが現状です。課題が多く積み重なっているが、毎試合、毎試合、前進できている。これから(パフォーマンスの)一貫性を持つことが重要です」

 相手の人員が足らない時間帯でもっとも象徴的だったのは、17点差を追う前半30分頃のひとこまだ。

 本来ならイタリア代表の堅い防御に風穴を入れたいところだったが、敵陣ゴール前でラックを連取しながら、接点の近くでの細かい繋ぎを乱した。

 落球したLOのワーナー・ディアンズは言う。

「あそこは、(自身とパスの出し手との間で)相手が少し触っていたと思ったけど…。何も、できなかったです」

 その約5分後には、ハーフ線付近で対する名物FBのアンジェ・カプオッツォに走られた。重心が低く細やかなフットワークで自陣ゴール前まで進まれ、LOのアンドレア・ザンボニンのフィニッシュが連なった。ゴール成功で0-24。決定力の重要性を再認識させた。

 日本代表が好機を逸した要因には、空中戦のラインアウトも挙がる。

 敵陣22メートル線前後、もしくは同ゴール前まで達し、捕球を誤ったシーンは複数。向こうに競られたり、ボールが後ろに逸れたり。総じて、受け手が最高到達点に届く前に楕円球が飛んでくるケースが多かったような。

 14-27と接近し、かつ相手に2枚目のイエローカードが出ていた53分頃には敵陣ゴール前左で1本を後逸。ここで宙に浮いたFLのリーチ マイケルは、総論として述べる。

「コール、ジャンプなどのちょっとしたズレがありました」

 試行錯誤の過程。別な選手からは、ドーム式スタジアムにおける声の反響に慣れなかった点も指摘していた。

 テストマッチ初出場でハーフタイムまで戦ったLOの桑野詠真は、潔かった。

「自分たちの改善できる点はコミュニケーションミス。(同じ会場でも)イタリア代表は捕れているので」

 時間を重ねるごとに早めの選手交代、攻める方向のマイナーチェンジでチャンスの頻度を増やすも、札幌ドームにため息を充満させる。件のラインアウトのほか、接点で寄りが遅れて相手に絡みつかれたのが痛かった。桑野は続ける。

「(日本代表が謳う)超速ラグビーに対して、イタリア代表はラック(接点)でスローボールに。相手のやりたいようにしてしまったかなというのがいまの感想です」

 公式で「17,411名」のファンが地団太を踏みたくなるなか、ベンチも歯がゆかったか。

 14-30だった72分。自陣22メートルエリアでの展開でエラーし、こぼれ球を拾われた瞬間のこと。コーチ席のあるあたりから、板を打ち付けるような「ドン」という音が響いた。14-37。

 もっとも、時間が経てばジョーンズもこうだ。

「皆様、どうしても結果を気にされると思います。ただ、我々はプロセスを経ないと(求める結果を)得ることができないと理解しています。私としては冷静を装っているつもりはありません。悔しく思っていますが、選手の努力は讃えないといけない」

 前向きな点は、大概の選手が素早い判断と強度を求めるいまの基本方針に手応えを感じていることか。信じ続けることで成果が得られるかは、向こう数年という時間が証明する。

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