各国代表 2024.07.10

フランス代表にまた激震。メンバー2人が性的暴行で逮捕

[ 福本美由紀 ]
フランス代表にまた激震。メンバー2人が性的暴行で逮捕
7月6日のテストマッチではアルゼンチンに28-13で勝利したフランスだったが…(Photo/GettyImages)



 南米遠征中のフランス代表に、またしても激震が走った。

 FBメルヴィン・ジャミネが人種差別発言でグループから追放されたばかりというのに、今度は2人の選手が性的暴行で訴えられ逮捕された。FLオスカー・ジェグ(21歳)とLOユーゴ・オラドゥ(20歳)。土曜日(7月6日)のアルゼンチン戦で代表デビューを勝利で飾った直後のことだった。

 被害者の女性は、土曜日の夜に2人とクラブで知り合い、その後、試合が行われたメンドーサでフランス代表が宿泊していたホテルの彼らの客室で暴行を受けたと現地メディア『MDZ』は報じている。フランス代表は、水曜日にウルグアイのモンテビデオで行われるウルグアイ戦のため、火曜日の朝に出発する予定だった。被疑者が国外に出て逃亡することを恐れ、現地当局は即捜査に乗り出し、月曜日にすでにブエノスアイレスに移動していたチームのホテルで2人から聴取を行い逮捕に踏み切った。

 月曜の夜に現地入りしたフランス協会のフロリアン・グリル会長は、ファビアン・ガルチエヘッドコーチ(HC)とミーティングをした後、チームが宿泊しているホテルで待機していた記者に緊急会見を行った。日付が変わり、火曜日の午前1時30分だった。

「もし訴えが事実だとすれば、事は極めて重大だ。まず被害に遭った女性のことを考えなければならない。もし訴えが事実だとすれば、ラグビーが作り出しているもの、ラグビーが築いているもの、ラグビーそのもの、そして、日々ラグビーを生かしてくれている2000ものアマチュアクラブが行なっていることと真逆のものになる。私は今到着したばかりで詳細を把握しておらず、何が起こったのかを申し上げることはできません。捜査が進むように協力することが大切です。本件では、ラグビーのことよりも、人のことを第一に考えなければならない。被害に遭われた女性のこと、そして2人のことを」とグリル会長はまず伝えた。

 メルヴィン・ジャミネの件に引き続き、今回の事件が起こった。「今のプロ選手が海外遠征期間中に遭遇し得ることに対して、十分な準備や指導がされていないということか」という記者からの問いに対して、「スタッフも、私たちもショックを受けています。このようなことが起こるということは、おっしゃる通りなのでしょう。でも、もし訴えが事実であればということです。捜査の結果を待たねばなりません」と答えた。

 スタッド・フランセでプレー経験があるアグスティン・ピチョットを頼り、現地で弁護士を見つけ、勾留中の2人につけた。最初の接見を終えて、「彼らは決して強要していないし暴力も振るっていないと言っている。確かに関係は持ったが、合意によるものだと言う。長時間、彼らの話を聞いて、私は彼らの言っていることを信じます」とクネオ・リバノラ弁護士は言い、ホテルの監視カメラの映像など、証拠を集め始めた。

 またグリル会長も交流されている2人と面会し、フランス協会から声明を出した。

「まず、訴えを起こされた方の声に耳を傾けなければなりません。もし、訴えが事実ならば、極めて重大です。訴えの内容は、ラグビーが作り出しているもの、ラグビーが築いているものと真逆のものなのです」と前置きした上で、

「訴えられた選手も、彼らの言い分を述べることが不可欠だと思われます。フロリアン・グリル、ジャン=マーク・レルメ(副会長)は、在アルゼンチンフランス大使とフランス領事、そして弁護士同席の元、本日(火曜日)ブエノスアイレスで2人と面会いたしました。2人はその夜、女性と性的関係を持ったことを認めましたが、如何なる暴力的行為も断固として否定しています。
 捜査は現在進行中で、フランス協会は、推定被害者と選手の事情聴取が行われるのを待っています。今後、捜査は事件の起こったメンドーサで行われ、選手もそちらへ移送されます。フロリアン・グリルとジャン=マーク・レルメも、ウルグアイ対フランスXVの試合には帯同せず、現地当局に協力し、本件を万全にフォローできるようにアルゼンチンに残ります。フランスラグビー協会は、すべての人に利益がもたらされるよう、本件が解決されることを望んでいます」

 一方、スタッフと26人の選手は、火曜日の朝ウルグアイへ向かった。グループの空気は重たい。チームメイト2人が手錠をかけられ連行されたのだ 。

「グループにとって、トラウマのようになっています。知らせを聞いた時、そして警察がホテルに乗り込んできた時は茫然自失でした。とても難しい時を過ごしています。この状況でウルグアイ戦の準備をしなければなりませんでした」
ウルグアイ戦前日の記者会見に現れたガルチエHCも沈痛な表情だ。

 ウルグアイ戦のメンバーは、土曜日のアルゼンチン戦から大きく変わり、9人の選手が初めてブルーのジャージーを身につける。SHバティスト・クイユーがキャプテンとして、経験のないチームを率いる。

【フランス代表ウルグアイ戦メンバー】

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