変化生んだTJ・ペレナラのルーティーン。サミソニ・トゥア、代表デビュー迫る。
努力は報われる。
ラグビー日本代表は6月22日、東京・国立競技場でイングランド代表戦と激突。世界ランクで7つ上回る5位の難敵が相手だ。
約9年ぶりに登板のエディー・ジョーンズヘッドコーチ体制にとってはこれが初の実戦。登録メンバー23名中8名がノンキャップだ。
そのひとりはサミソニ・トゥア。浦安D-Rocks所属の29歳である。身長182センチ、体重108キロのCTBで、キレと力感が魅力だ。
「自分の強みはアタック。絶対、誰にも負けない。自分のことを信じて、100パーセントの練習する」
本人が語ったのは2月6日。ちょうど福岡での候補キャンプに出ていた。6月6日から本隊が実施の宮崎合宿へは始動当初こそ不参加も、15日に追加招集された。短期間でレギュラー組に昇格した形だ。
トンガから来日したのは2014年。関西大学Aリーグの摂南大を経て、’18年、その頃に旧トップリーグに加盟していたNTTドコモレッドハリケーンズ(当時名称)へ入った。
貴重な出会いがあったのは3年目の’20年。ニュージーランド代表として経験豊富なSH、TJ・ペレナラが加入した。
自身より4学年上のスタープレーヤーは、試合中の働きで旋風を巻き起こしたうえ生活態度でも光った。毎朝「6時45分」までに大阪市内のクラブハウスへ顔を出し、ウェイトトレーニング、ステップワークのセッション、戦術確認に注力した。
その勤勉さに、トゥアは感化された。
早起きしてペレナラのセッションに付き合ううち、「痩せて、スピード、体力(が変わった)。ステップも切れるし」。ペレナラとともに臨んだ’21年のトップリーグ最終シーズンは、チームが初の8強入りするなかトゥア本人は前年度比で14キロ減。攻守でシャープに動いた。
「ペレナラが来て、自分が大きく変わりました」
ペレナラは1季限りで退団した。しかしトゥアは、ペレナラのもとで身につけた習慣をいまなお続けている。
リーグワン発足2季目の22年に現所属先へ移ってからも、朝からワットバイクをこぎ、重量を挙げる。かつ、チームのトレーニングに全力で臨むべくリカバリーも施す。
かくして今季は、もともと2部にいたクラブの1部昇格に喜んだ。
「ペレナラが帰ってからも、日本代表になれるように(努力した)」
念願のジャパン入り。途中出場から攻めを加速させる。