ワイルドナイツ小山大輝が振り返るプレーオフ決勝。6月22日も再び国立へ。
異空間。平常心を保てたと小山大輝は言う。
「いつもと変わらなかったです。変に自分にプレッシャーをかけなくて、という感じ」
5月26日、5万人超が集う東京・国立競技場に立った。埼玉パナソニックワイルドナイツの9番をつけ、国内リーグワンプレーオフの決勝に挑んだ。
リザーブとして挑んだ昨季のファイナルでは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイに15―17と惜敗。この午後は王座奪還をかけ、レギュラーシーズン全勝で頂上決戦に臨んだ。
序盤に得点機を手繰り寄せる。敵陣深くまで攻め込み、ゴール前左中間で球を掴んだ小山が、グラウンディングを試みる。
ノックオン。手元には、対する東芝ブレイブルーパス東京のリーチ マイケル主将、リッチー・モウンガが絡んでいた。
このシーンでは、チームが大外に数的優位を作っていた。そのため、同期で司令塔の松田力也に「怒られました」と小山は言う。松田はパスが欲しかったのだという。
「外に(ノーマークの選手が)余っていたので」
試合が白熱するなか、互いに接点で圧をかけ合い、陣地を奪えるタイミングを探り合った。小山の述懐。
「我慢しながら、我慢しながら、隙あらば蹴る…と。(ワイルドナイツは)そこでうまくいかなかったところもある。(ブレイブルーパスは)強かったです」
序盤のシーンがそうだったように、ブレイブルーパスはピンチでしぶとかった。粘り強いタックルで、ワイルドナイツのチャンスを摘み取ってゆく。
それでもワイルドナイツは、6-17で迎えた後半21分から徐々に追い上げる。
13―17と迫っていた28分には、堅守で掴んだ攻撃機会を活かした。敵陣ゴール前左に放たれたキックを味方が確保。接点にある球をFBの山沢拓也がさばき、ちょうどサポートについた小山がフィニッシュした。直後のゴール成功で20-17。
本来なら山沢拓の役目を小山が担うところだったとあり、「(接点に)追いつけないなと思って『ヤマ! ヤマ!』と。放ってくれてよかったです」。今シーズン好調の29歳がやや疲弊するほど、このゲームはタフだった。
「東芝さんもよかったですけど、自分たちのリロード(プレー後の起き上がり)も少し遅かった。(理由は)疲れもあるんじゃないですかね…」
39分頃にもワイルドナイツがトライしたかに映ったが、その前の流れでスローフォワードがあったとされて得点はキャンセル。テレビジョン・マッチ・オフィシャルによるビデオ判定の結果だ。
「それはしょうがないです。勝負の世界なので」と頷く小山は、そのまま今季限りで引退の内田啓介と交代した。20-24。優勝を逃した。
気持ちを切り替える。6月6日からは日本代表合宿に加わる。
内々にキャンプ参加を打診されたのは発表よりも少し前。折しもシーズン中とあり、「いまはチームにフォーカス。(代表活動は)その先にある」とプレーオフに集中していた。
これから先は初キャップ獲得を目指す。22日に国立でイングランド代表戦がある。
「新人なので、がむしゃらにやっていかないと」