海外 2024.05.28

【スーパーラグビー・パシフィック】アップセット! 第14節、クルセイダーズがブルーズ撃破でプレーオフへの望みを残す

[ 松尾智規 ]
【スーパーラグビー・パシフィック】アップセット! 第14節、クルセイダーズがブルーズ撃破でプレーオフへの望みを残す
効果的なパフォーマンスを見せたHOコーディー・テイラー。(Getty Images)



 スーパーラグビー・パシフィック第14節(5月24〜26日)、NZ国内のダービーマッチは盛り上がった。

 5月24日、ハミルトンでおこなわれたチーフス×ハリケーンズは、テストマッチ並みのレベルの高い試合だった。前半14-0で大きくリードするハリケーンズに対し、チーフスは後半、猛烈に追い上げた。
 残り時間10分を切ったところで同点となる。最終的には、終了間際にPGを決めたハリケーンズが20-17と激戦を制した。

 5月25日のクルセイダーズ×ブルーズも盛り上がった。首位を走るブルーズが自信を持ってクライストチャーチに乗り込む。クルセイダーズにトドメを刺しに来た。
 シーズン終盤になっても2勝しかしてない昨年の覇者、クルセイダーズに勝ち目はない。それが大方の予想だった。
 それが当たれば、クルセイダーズのシーズンエンドが決定する状況だった。

 まさに崖っぷち。プレッシャーがかかる中、メディアを騒がせる出来事があった。
 成績不振とあり、これまで以上に指揮官のロブ・ペニーHCへの風当たりが強くなっていた。水曜日(5月22日)のメディアセッションで、ある一人の記者が必要以上に厳しい質問を投げかけた時だった。

 ペニーHCは若干イラついた様子を見せていたものの、何とか対処していた。
 しかし、ペニーHCがその場を去る時にメディアマネージャーに発した言葉がマイクに拾われた。それは、かなり不適切な言葉で、結果、報道が過熱した。

 同HCは直ぐに謝罪。侮辱的な言葉を受けた記者もそれを受け入れた。そのことをCEO自ら声明文として表に出した。
 ピッチ外での騒動が、チームにどのように影響するのかも注目された。

◆絶好調のブルーズ相手にくらいつくクルセイダーズ。

 第14節を前に12試合でわずか2勝。プレーオフに向けて望みが薄い状況にもかかわらず、多くの観客がアポロプロジェクト・スタジアム(クライストチャーチ)に駆け付けた。
 負けたら終わりという事もあり、スタジアムのアナウンスは、いつも以上にホームチームを盛り上げようとしているようだった。それに合わせるように観客も、クルセイダーズに声援を送った。

 試合は、10分にブルーズにPGで先制された。ケガから復帰のFLイーサン・ブラッカダ—がディフェンスを引きずりながらインゴールになだれ込んだ(7-3/19分)。
 それに対しブルーズも、すかさず反撃。PRオファ・トゥンガファシがパワーを見せつけ、22分と35分にトライを挙げる。クルセイダーズは7-15と8点差 をつけられた。相手の勢いを前にスタジアムは、また負けてしまうのか、という雰囲気となった。

 そんな空気を一掃したのが、シーズン終盤になって休養からチームに戻ったHOコーディー・テイラーだった。
 前半終了間際、相手反則でPKを獲得したときだった。テイラーは躊躇せずクイックタップで突破を試みる。その速攻が奏功し、14番のチェイ・フィハキのトライを演出した。12-15の3点差と何とか食らいついてハーフタイムを迎えた。

選手たちへ熱心に声援を送ったクライストチャーチのファン。(撮影/松尾智規)

◆後半ブルーズに突き放されるも、クルセイダーズが大逆転。

 後半、開始間もなくブルーズのFBスティーヴン・ペロフェタがイエローカードで10分間退場(44分)。
クルセイダーズが数的有利になったにもかかわらず、スコアボードを動かしたのはブルーズだった。
 FWが近場でピック&ゴーと、効率よく前に出るブルーズの攻撃に防戦一方のクルセイダーズ。ディフェンスが足りなくなったところで外に振られ、11番のAJ・ラムにトライを許した。12-22。10点差とされ、再び突き放された。(51分)

 今季のクルセイダーズは、そのままズルズルいって勝てないケーズが多かったが、この日は違った。
 54分にNO8クリスチャン・リオウイリー、61分にSHノア・ホザムの連続トライで26-22と再逆転。粘りを見せるクルセイダーズのパフォーマンスにスタジアムのファンも興奮した。
 その後、バークから代わってキッカーを任されたフィハキがPGを決めて29-22とセーフティーリードに持ち込んだように見えた(65分)。

 しかしブルーズも反撃に出た。
 再度FWの近場でピック&ゴーでチャンスを掴み、11番ラムが決定力を活かして左隅にトライ。コンバージョンキックが入れば同点となった。SOハリー・プラマーのキックは僅かに左にそれる。差は2点となった(29-27とクルセイダーズのリード/72分)

 激しい攻防は試合終了時まで続くも、確実にボールを確保したクルセイダーズがそのままのスコア(29-27)で逃げ切った。コーチングボックスには、ペニーHCがアシスタントコーチたちと抱き合う様子があった。

 試合後のSky Sports NZのインタビューでは、クルセイダーズの選手の笑顔が印象的だった。そして、一番プレッシャーを受けていたペニーHCのインタビューは、いつもより長めだった気がする。

 オールブラックスのレジェンド、ジャスティン・マーシャル、ジョン・カーワンとの会話でペニーHCは、「選手のパフォーマンスを誇りに思う。この試合に向けてコーチ陣が良い仕事をした」と語り、特にスクラムで相手にプレッシャーをかけた事が試合を有利に進める要因になった事を強調した。 記者に対して不適切な言葉を使った件については、「自分自身にがっかりしている、自分も、もっと良くならなければいけない」。と語り、反省する言葉も付け加えた。

試合後、インタビューを受けるロブ・ペニーHC(右端)。(撮影/松尾智規)

 そしてなによりも、成績不振の中でも見捨てずに沢山のお客さんが声援を送ってくれることに感謝していた。プレッシャーが大きかっただけに、首位のブルーズに対して良いパフォーマンスを発揮し、勝利した喜びを隠せない様子だった。

 レギュラーシーズンの最終節(5月31日、6月1日)が始まる前の時点で7位までがプレーオフが確定した。残りのひと枠を8位のフィジアン・ドゥルア(21P)、9位のフォース(19P)、10位のクルセイダーズ(19P)、11位のモアナ・パシフィカ(18P)の4チームにチャンスが残されている。

 現時点で8位のドゥルアが有利なのは間違いない。最終戦でレベルズに勝てば、その時点でプレーオフ進出が確定する。クルセイダーズが8位に滑り込むには、5月31日にモアナ・パシフィカに勝ち、その上でドゥルアが負けることが条件だ。
 クルセイダーズが8位に入ってプレーオフで1位のチームと対戦するカードとなれば面白くなりそうだ。最終節は目が離せない。



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