国内 2024.04.29

【サニックスワールドラグビーユース交流大会2024】女子の王者は福岡レディース。男子は大阪桐蔭、大分東明、桐蔭学園、御所実が2勝目

[ 田村一博 ]
【サニックスワールドラグビーユース交流大会2024】女子の王者は福岡レディース。男子は大阪桐蔭、大分東明、桐蔭学園、御所実が2勝目
女子の頂点に立った福岡レディース。(撮影/松本かおり)



 朝から降り続いていた雨はファイナルの頃には上がり、日差しが出た。
 開催中の『サニックスワールドラグビーユース交流大会2024』は4月29日(月・祝)が2日目。福岡・宗像市のグローバルアリーナでは、女子の部(セブンズ)の決勝がおこなわれた。

 頂上決戦に勝ち上がってきたのは、地元・福岡レディースと京都成章。ピッチに水たまりはできていたものの、お互い積極的にボールを動かした。
 前半は7-7。両チームが持ち味を出し合った。

福岡レディースはランも防御も力強かった。(撮影/松本かおり)

 キックオフ直後から選手たちの運動量が多く、ボールがよく動く展開だった。
 先行したのは福岡レディース。自陣に攻め込まれるも、ターンオーバ―から切り返す。
 PKを得ると速攻を仕掛けた。沖千緒里が長い距離を走り切ってトライを奪った。

 好スタート。しかし、試合の流れをつかみ続けたわけではなかった。
 攻め込まれては、粘りのある防御でしのぐ展開。
 前半6分にはキックカウンターからの流れで、京都成章の好ランナー、藤原郁主将にトライを許した。

 勝利を手繰り寄せたのは、後半の立ち上がりだった。相手のキックミスで得たチャンスを広げた。
 攻守が切り替わった直後の攻撃で前に出たのは大川愛華、倉﨑菜々。PKを得ると、右へ大きく展開する。最後は左に攻め、相手のしつこい防御にあうも、倉崎がインゴールに入った。

 12-7とリードした福岡レディースが試合を決めたのは試合終盤だった。
 スクラムから攻め、アングルチェンジなどを絡める。オーバーラップ状態ができたのを見逃さず、右に展開。最後は西端渚が相手を引きずってインゴールに入る。
 17-7とファイナルスコアを刻んだ。

ファイナリストとなった福岡レディースと京都成章が一緒に。(撮影/松本かおり)

 攻守に力があるところを見せた京都成章の藤原主将は、「福岡はフィジカルが強いと分かっていたので気をつけていたのですが、やはり、そこで受けてしまいました」と戦いを振り返った。

 福岡レディースはディフェンスに力を入れている。大坪弘明監督は、「システムを作ることと、コミュニケーションをとり続けることを継続してやってきました」と話した。
 準決勝ではNZの強豪、マヌクラを破った。1トライだけに抑えたことが勝因だった。

 大内田葉月主将は、「現実と思えないぐらい嬉しい。きつい試合でしたが、気持ちで負けないように戦いました」と、チームの芯の強さに胸を張った。
 表彰式で優勝カップを天に突き上げ、大きな拍手を浴びていた。

女子3位決定戦の関東学院六浦×マヌクラ(NZ)。(撮影/松本かおり)

 男子の部は、2日目も激戦が相次いだ。
 日本勢では、大阪桐蔭、大分東明(ともにプールA/全4プール)、桐蔭学園、御所実(同プールB)が2勝目を挙げた。それぞれのプールの1位が1位〜4位決定トーナメントに進み、大会のチャンピオンを目指す。

 御所実は、この大会の予選会で優勝して出場権をつかんだチームだ。この日はマハトマ ガンジー メモリアル スクール(フィジー)と対戦し、25-5と快勝した。
 ファーストスクラムで渾身の押しを見せた。PKを得ると敵陣に入り、攻撃を継続させる。6分にNO8本多守人がインゴールに入り、幸先のいいスタートを切った。

御所実のプレーには一貫性があった。(撮影/松本かおり)

 先行した漆黒のジャージーはこの日、結束して攻撃的な相手に立ち向かった。
 早い出足でダブルタックル。機を見て集まり、ボールを奪い返す。モールも密になって組み、よくコントロールできていた。

 前半を8-0とリードした御所実は、後半に入ってモールで相手ゴールに迫り、最後はPKから仕掛けてペナルティトライ。7点を追加した。
 思うようにプレーできないフィジアンたちは苛立ち、ラフなプレーもあった。しかし動揺することなく、自分たちのラグビーを貫き、最後まで危なげなかった。

 主将の小林淳弘は、相手の荒いプレーに対してもブレることのなかった理由を、「日本一を目指しているから」とした。
「そのために、いろんな予測をしながら練習し、試合で戦っています。熱くなったら、やるべきことをやれなくなるので、いつも頭がクリアになるようにしています」

 そして、5月1日に戦う桐蔭学園との試合に向け、「日本一になるには超えないといけない相手。男と男の勝負。負けられません」と覚悟を口にした。

セント オーガスティンズ カレッジのSOジョー・ウォルシュの動きを封じようとする東海大相模。(撮影/松本かおり)

 初日に全国選抜大会準優勝の石見智翠館に47-12と完勝したセント オーガスティンズ カレッジはこの日、東海大相模(全国高校大会8強)と戦い、24-14のスコアで2勝目を手にした。
 SOジョー・ウォルシュは巧みなプレーと鋭いランを武器に持つU18オーストラリア代表。この日も自ら動き、周囲の力を引き出した。

 そのウォルシュが自ら2トライを挙げた前半、セント オーガスティンズ カレッジは3トライを奪い24-7とリードした。
 後半は互いに1トライずつを奪う展開となり、ファイナルスコアは29-14だった。

 勝者が実力通りに勝利を手にした試合ではあったが、東海大相模のプレーが通用するシーンも多くあった。
 モールを押し込んだ。CTB岩崎倫也のタックルはライン側で相手を押し出し、ピッチ中央で押し戻した。

 三木雄介監督は、「自分たちの強みであるFWで、真っ向勝負してこいと言いました。プレッシャーも受けましたが、いい形で、いいところを出せた局面もあった」と選手たちのパフォーマンスを評価した。

 2日目の最後の試合となった試合も、ラストシーンまで勝負の行方が分からぬ展開だった。
 東福岡がニュージーランド王者のサウスランド ボーイズ ハイスクールに食らいついた。12-14と僅かに届かなかったが、古田学央主将が「この1か月、苦しい練習をしてきて成長できたと感じることができました。価値のある負けだと思います」という内容だった。

 開幕から2日で、各チーム、選手たちの成長が感じられる。
 残りの日々も、濃い時間が流れそうだ。

東福岡はNZ王者に迫るも惜敗。(撮影/松本かおり)


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