国内 2024.04.27

頬骨骨折から復帰。ブレイブルーパスの佐々木剛は「必要な選手になる」

[ 向 風見也 ]
頬骨骨折から復帰。ブレイブルーパスの佐々木剛は「必要な選手になる」
持ち前のスピードに加えパワーが増したことで、アタックでゲインするシーンがさらに増えた(撮影/松本かおり)



 27歳になる3日前の4月14日、実戦復帰を果たした。

 佐々木剛は東芝ブレイブルーパス東京の7番をつけ、東京・秩父宮ラグビー場に立った。コベルコ神戸スティーラーズに挑んだ。

 リーグワン1部の第13節。順位で3つ下にあたる5位の相手と、40-40で引き分けた。今季12つめの白星こそ逃したが、プレーオフ行きを決めた。

 自身は後半31分までフィールドに立った。自陣ゴール前でのジャッカル、カウンターアタックを仕掛けてくる相手へのロータックルなどで魅せた。ひとまず安どできた。

「コンタクトはもうちょっとやられるかと思ったのですが、準備がよかったのか、そこまで負ける場面はなかった。全体としてよかった。ジャッカルは自分の強みだったので、出てよかったです」

 近年、徐々に出番を増やしており、今シーズンは開幕から主力に絡んだ。

 頬骨の骨折のため第8節を最後に一時離脱も、「焦っても治らない怪我。骨がつくまで他の部分を上げていこう」。同月上旬から少しずつ練習へ混ざり、スティーラーズ戦への準備期間からコンタクト練習へ戻っていた。

 序盤に開幕8連勝と躍動したブレイブルーパスには、激しい部内競争がある。

 試合に勝つたびに、主力が「K9」へ謝辞を述べる。実戦練習で相手役を担い、圧をかけてくる控え組を讃えているのだ。

「K9」には、ゲームメンバー昇格へのオーディションが課されてもいる。「K9」でのアピールにより這い上がった選手は、複数いる。

 だからしばらくフィールドを離れた佐々木も、この春、希望を胸にグラウンドへ出た。

 その流れで、スティーラーズとの重要な一戦で持ち場のFLへリストアップされた。翌週の第14節(対三重ホンダヒート/三重交通G スポーツの杜 鈴鹿/○8-7)でも、7番を掴んだ。

 27日には秩父宮で、東京サントリーサンゴリアスとの第15節にも先発する。プレーオフで再戦の可能性がある好カードを前に、気を引き締める。

「メンバーに選ばれたからといって油断はできないし、メンバーから外されたからといってもうチャンスがないわけではない。常に試合をイメージする」

 身長180センチ、体重101キロ。八戸西高から入った大東大で1年生レギュラーにになった時期は、器用さが光った。球を持ってタックラーに当たる瞬間、タックラーの芯から逃れながら前進。巧みにオフロードパスを操った。

 20歳以下日本代表に選ばれたあたりから、正面衝突を厭わぬようになった。

 突進、タックル、ジャッカルは関係者の知るところとなった。最終学年時は主将となり、卒業後は京産大、東海大で自身と同じ役職だったLO兼FLの伊藤鐘平、CTBの眞野泰地らとともにブレイブルーパスに加わった。

 1対1で圧倒するのをモットーとする古豪にあって、取り組んだのは身体作りだ。うまさと気迫を最適化すべく、身体のスペックを大きくした。

 いつしか、ウェイトトレーニングのスコアは大幅に上がった。

ベンチプレスは「130」から「150」に、学生時代に注力していなかったというスクワットは「140」から「調子いい時で190」。ゲームに出れば、ぶつかった際の踏ん張りが強くなったと感じる。

 最近では、新加入した同じポジションのシャノン・フリゼルとも切磋琢磨。圧巻のパワーに触れ、刺激を受ける。

「攻撃でも守備でも目を引く、ブレイブルーパスで必要な選手になっていくのが目標です。その先に、(日本)代表も見えてくる」

 今年度の台風の目となったクラブの、得難きバイプレーヤー。旧トップリーグ時代の2009年度以来となる日本一を目指し、ひたむきにファイトする。

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