日本代表 2024.04.11

相手が強いほど燃える。川越功喜[JAPAN XV/天理大]

[ 明石尚之 ]
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相手が強いほど燃える。川越功喜[JAPAN XV/天理大]
生野ラグビースクール、東生野中出身の川越功喜(撮影:松本かおり)

 仲間からは「シェフ」の名で親しまれる。有名料理人と同じ名字だったことから、その愛称になった。

 川越功喜。天理大の2年生だ。

 1月からおこなわれているU20日本代表候補合宿に参加し、この4月にはJAPAN XVの一員としてサモアに遠征している。
 10日のマヌマ・サモア戦では背番号7で先発。48-5で初戦の勝利に貢献した。

 その名を世間に知らしめたのは、高校3年時だ。
 低く強いタックルと推進力あるアタッカーとして、花園で獅子奮迅の活躍を見せる。天理をベスト4に導く原動力となった。

 しかし、高校日本代表はまさかの選外。候補メンバーにすら選ばれなかった。

 その悔しさは進学した天理大での活力にした。ルーキーイヤーの昨季には、180センチ、79キロと細身だった身体を鍛え直し、体重を8キロほど増やした(現在88キロ)。
 関西リーグの2戦目から先発に抜擢され、以降ほぼすべての試合にフル出場した。

 大学選手権に入ると、さらにパフォーマンスを上げた。体格で優る留学生相手にもぶち当たり、落球を誘う。後に3連覇を果たした帝京大にも刺さり続けた。

 胸に秘める思いは、漫画の主人公のようだ。
「強い選手や有名選手が相手の方が燃えます」

 U20代表候補としてリーグワンのチームと連戦した3月にも、同じ姿勢を貫いた。
 1戦目の埼玉ワイルドナイツ戦、2戦目のトヨタヴェルブリッツ戦と控えに回っていたが、そのトヨタ戦で好パフォーマンスを見せる。3戦目から先発に上がる。

「良いアピールができたと思います。ディフェンスで抜かれた時に自分が一番に戻ったり、コンタクトの局面で前に出られた。リーグワンの重さ、上手さは感じたけど、通用する部分もあると思えました」

 どんな相手にも臆さず身を投じられるわけを、「ラグビーを始めた時からコンタクトが好きですし、好きなことができるのは嬉しいじゃないですか」と笑顔で話す。

 そのための努力も重ねてきた。チーム練習後のタックル練をルーティンとする。サモア遠征直前の公開練習でも、最後までグラウンドに残っていたのは川越と明大の大川虎拓郎だった。

「1対1は回数をこなしてきた自信があります。それをしないと成長できないと思っているので」

 天理高、天理大では同じバックローの太安善明と自主練に励んできた。
 その太安はJAPAN XVのキャプテンになる。中学の大阪府選抜から一緒にプレーしてきた相棒は、互いを高め合える存在だ。

「太安が良いプレーしたら自分もせなあかんと思うし、あっちがあかんかったら自分がいこうと」

 サモアでも支え合い、巨漢揃いのアイランダーにも強気で刺さる。

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