国内 2024.04.06

ここから爆発。サンゴリアス山本凱の「自分らしいプレー」。

[ 向 風見也 ]
ここから爆発。サンゴリアス山本凱の「自分らしいプレー」。
3月23日のイーグルス戦で果敢に突っ込むサンゴリアスの山本凱(撮影:松本かおり)


 強烈な一撃をこれでもかと重ねる。

 これが山本凱のラグビースタイルだ。東京サントリーサンゴリアス所属の24歳は、負傷が癒えるや持ち味を発揮する機会を増やしている。

「自分らしいプレーをできるよう、慣らしていく」

 3月23日、東京・秩父宮ラグビー場。国内リーグワン1部の第11節に持ち場のFLで先発した。横浜キヤノンイーグルスにぶつかり、自身は手応えをつかんだ。球を持てば追っ手を勢いよく振り切り、球を持つ相手には低い姿勢で刺さった。

 チームは35-37と敗れたとあり全体的な動きの「スタンダード」を見直したいと話すも、個人的には好感触も得た。

「ディフェンスで(ひとりで)飛び出しちゃったところもあると思うんですけど、自分らしいプレーもできたかなと思います」

 身長は177センチと一線級では大柄ではないが、体重は100キロと国際仕様か。慶大の副将を務めた学生時代は、国内の複数のクラブからラブコールを受けていた。

 かねて名手揃いで知られるサンゴリアスを選んだのは、体験参加したトレーニング時の雰囲気に惹かれたからだ。

「競争率が高くて、外国人、日本人に関係なく、アグレッシブに、ひたむきにやっていた。皆、才能ありますけどそこにおごるのではなくて、ひたむきに取り組む感じでした」

 参加3季目の国内リーグワンにおいて、一昨季から2シーズン連続で「ゴールデンショルダー」を受賞している。選手投票によるタイトルで、ライバルに強烈なタックルを放つことで得られた。

 1年目に至っては、当時のルールに基づき慶大卒業を待ってレギュラーシーズンの途中から挑んでのタイトル獲得だ。それほど他者にとって脅威なのだと伝わる。

 昨季終了後は、世界の名手をその都度セレクトするバーバリアンズに招かれた。

 現日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズが率いていたバーバリアンズの7番をつけ、イングランドを転戦。元ウェールズ代表主将のアラン・ウィン・ジョーンズが飲むと朗らだと知れたのを含め、貴重な経験を積めた。

 日本代表初選出も期待されて臨んだ今季は、第4節の前半25分に負傷で交代を余儀なくされた。以後、しばらくフィールドを離れた。開幕から持ち味を発揮していたとあり、口惜しかった。

 雌伏期間は、痛めた箇所のリハビリと筋力強化、さらには再発防止のためのストレッチにいそしんできた。戦列に戻れたのは第10節からで、件のイーグルス戦は復帰2戦目だった。本番はこれからだ。

「これからタックルたくさんしていきたいなという時にけがをしちゃったんで、まだまだです」

 4月7日の第12節は、コベルコ神戸スティーラーズ戦だ。無念の退出を余儀なくされた第4節と同カードである。

 順位はサンゴリアスが12チーム中3位なのに対し、スティーラーズは4位だ。神戸総合運動公園ユニバー記念競技場での一戦は、上位4傑によるプレーオフ争いに大いに絡んでいる。黄金の肩を持つ戦士の「自分らしいプレー」は、価値が高まるばかりだ。

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