国内 2024.03.20

深くなるチーム愛、日本愛。イザヤ・プニヴァイ(東京サントリーサンゴリアス)

[ 編集部 ]
深くなるチーム愛、日本愛。イザヤ・プニヴァイ(東京サントリーサンゴリアス)
190センチ、103キロ。19歳の頃からカンタベリー代表で活躍し、NZでも才能を高く評価された。(写真/BBM)



 チーム愛が深くなった。日本への思いが変わった。
 東京サントリーサンゴリアスのCTBイザヤ・プニヴァイは「ずっと日本にいたいな、と思うようになるまで、そう時間はかかりませんでした」と表情を和らげる。

 在籍2シーズン目の今季、リーグワンの開幕からの全10戦すべてに出場し、そのうち半分は先発出場と充実している。
 前シーズンの出場は4試合。プレータイムを大きく伸ばし、チームへの貢献度も高めている。

 ニュージーランドのウェリントン生まれ。まだ23歳と若い。
 クルセイダーズに2季所属も、出場は先発したモアナ・パシフィカ戦(2022年3月4日/33-12)の1試合だけに終わった。

 ケガの影響もあり、2023年シーズンはスーパーラグビーチームと契約を結べない中、サンゴリアスから声がかかって海を越えることを決断した。
「当初は、1シーズンプレーしたら、もう一度スーパーラグビーに戻るつもりでした」

 その思いが変わったのは、異国の地と考えていた日本が「思っていたほど『外国』という感じがしなかった」ことも理由のひとつだ。

 周囲の人にリスペクトの気持ちを持って接する。マナーもいい。家に入るときに靴を脱ぐことも、そうだ。
 自身のルーツがあるトンガやクック諸島など、ポリネシア諸国の文化と共通項が多く、暮らしやすさを感じた。

「食事や文化も気に入っていますし、私の彼女がニュージーランド人と日本人の両親を持っており、その両親は福岡に住んでいます。サンゴリアスのチームメートとの仲も深まっている。いまは日本にずっといたいと考えています」

 内面の変化がチームへのコミットメントを強くし、それがピッチ上のパフォーマンスにも直結している。「プレシーズン中からマインドセットが変わった」と話す。

 来日1年目を思い出して「チームのスタイルを理解する時間も必要でした」と話す。
「周囲が自分という人間、ラグビープレーヤーとしての私を理解する時間も必要だったと思います。私も(周囲に対して)そうでした。でも2シーズン目は、お互いに理解し合っています。結果、自分の知識、経験を活用できるようになりました」

 テンポのはやい日本ラグビー、サンゴリアスのスタイルに適応するため、肉体改造にも取り組んだ。
「スピードを高める。加速する力。動き続けるフィットネス。それらをS&Cコーチのサポートを受けて高めました。口に入れるもの、リカバリーにも気を使うようになりました」

 田中澄憲監督も、「まず、体つきが昨年とは違う」と変化を認める。
「自分自身へのフォーカスが高まったと思います。何が足りないかを認識し、それに対してどう取り組めば何が返ってくるか理解するようになっていると思います。発言だけでなく、行動もプロフェッショナルになってきました」

 田中監督はプニヴァイの来日当初から、もともと持っている芯の強さを感じていた。
「クルセイダーズではなかなか出場機会を得られなかったようですが、リーダーシップはありました。年齢のわりに大人で、発言もしっかりしていました」

 生来の気質がさらに高まって、成長の速度を高めている。
 出場メンバーを決めるときいまのサンゴリアスでは、各国代表経験者などビッグネームを、迷わず(上限の)3人起用するということはない。
 指揮官は「いい意味でメンバー選考が難しくなりました」と話す。

「そういう状況は、チームにとってすごく価値のあることだと思います。試合出場が増えていることで、より深くサントリースタイルを理解し、チームへのロイヤリティも高まるでしょう。ヘンディ(ツイ ヘンドリック)のように、新しく加わる外国出身選手たちにサンゴリアスのDNAを伝えるような存在になってくれたらいいですね」

 伸びしろは、まだまだある。プニヴァイ自身、オールブラックスの主将を務めてきたサム・ケインや南アフリカで世界トップに立ったチェスリン・コルビら、ワールドクラスの選手たちと過ごしていると学びが多いと言う。

「1週間の(スケジュールの)組み立てが緻密です。そして、毎日すべきプランがあって、試合に向けて心と体の準備を進めていく。一つひとつのタスクを決して妥協することなく消化していく姿に感銘を受けます」

 長い人生を歩んでいく中で、府中での日々は貴重なものになりそうだ。


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