その他 2024.02.16

プロとなるのに必要な基礎を学ぶ。トップを目指す中学生は「アルゴス」へ。

[ 向 風見也 ]
プロとなるのに必要な基礎を学ぶ。トップを目指す中学生は「アルゴス」へ。
大賀雅雄さん(photo by Ken Shimizu)


 メジャーリーガーの大谷翔平のようなラグビー選手をたくさん育てるつもりだ。

 プロ選手になりたい中学生を対象にした育成プロジェクトの「アルゴススポーツアカデミー」の第1回合宿が、3月27日からの3日間、佐賀の「SAGA FURUYU CAMP」でおこなわれる。生徒を募集中だ。定員は40名。

 名前の由来となった「アルゴス」は、ギリシア神話に登場する100の目をもつ巨人。実在すればぶつかり合いを支配できるうえスペースも攻略できる。ラグビー選手にうってつけの資質を育むのが、今度の計画の大義だ。

 参加者はラグビーのスキルに加え、強い身体を作るためのトレーニング、ニュートリション(栄養摂取)の基礎を、各分野のエキスパートから直接、学べる。

 ラグビーのスキルを教えるのは銘苅信吾氏。元早大ヘッドコーチで、いまは沖縄のデイゴラグビースクールで小中学生を指導する。実戦形式のボールゲームなどでグラウンドの大きな「スペース」を見つけたり、接点で機先を制するためのわずかな「スペース」を見抜いたりできるよう促す。

 ベース作りはオン・ザ・フィールドのみにあらず。S&Cコーチは田中快治氏。東福岡高ラグビー部や福岡大バスケット部などで実績のある同氏は、身体作りの基礎知識を伝える。

 鍛えるのは食べるのと同時並行でおこなう。アスリート専門の管理栄養士として実績のある金子香織氏が、効率的に大きく、強い選手になるにはいつ、どんな栄養を摂るべきかを指導。合宿中の食事はその指針に沿って提供し、スーパーで売っている食材で作れるレシピも紹介する。子どもを参加させる保護者にとっては、キャンプで得た習慣を再現しやすそうだ。

 世界を席巻する大谷が才能に加え私生活もプロ仕様と言われる。「アルゴス」の指導陣はこの事実を踏まえ、トップのラグビー選手となるための「一丁目一番地」がどこにあるかを伝授するのだ。

 プログラム全体の構築にも、複数の元プロアスリートの視線が届く。食事の時間はもっともトレーニング効果の出やすいタイミングに定めるなど、全てのセッションが地続きになっている。

 プロジェクトを支えるのは大賀雅雄さん。国内リーグワンで昨季3位の横浜キヤノンイーグルスが本格的な組織整備をする際、チームの強化担当を務めた。

 イーグルスがリーグワン前身のトップリーグに定着した2018年までにキヤノンを退社し、2019年からは福岡の日建という建設会社の代表取締役となった。家業を受け継いだのだ。それまでの業務に加えて健康事業へも注力したいと考えるなか、ラグビーも見つめ直したくなった。

 3人の子どもがラグビースクールや強豪校で楕円球を追っているのを応援するうち、少年期から整備されたプログラムに触れるべきだと感じた。子どもの友人の保護者に元トップ選手がいたのをきっかけに、今回の計画を動かすこととなった。

 その結果、銘苅氏らエキスパートが参画。さらには、現在リーグワンを戦っている九州出身の日本代表経験者がリモートで講演してくれることになった。ことを始める前から胸が高鳴っている。

 将来的には、このキャンプを学校の長期休暇の時期ごとに実施したいという。繰り返し応募してくれる生徒にはスキル、フィジカルの強化に関する「宿題」を授け、その時々で進捗状況をチェックするつもりだ。「夢追い人を応援したい」と語る。

(お申込みはこちら:https://argos.flag.gg/

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