国内 2024.02.01

ルリーロ福岡のリーグワン参入が正式決定。うきは市役所での報告会に選手らが参加

[ 李 鍾基 ]
ルリーロ福岡のリーグワン参入が正式決定。うきは市役所での報告会に選手らが参加
リーグワン新規参入を決めたルリーロ福岡。うきは市の髙木典雄市長(前列左から4番目)らとルリーロポーズで記念撮影。(撮影/李 鍾基 )
疾走するカーン・ヘスケス。多くのファンに支えられている。(撮影/松本かおり)



 人口3万人に満たないうきは市で誕生したラグビーチーム、ルリーロ福岡がチーム設立から22か月で快挙を遂げた。

 1月31日、日本ラグビーの最高峰ジャパンラグビーリーグワンへの新規参入が正式発表された。
 来シーズンからは、セコムラガッツ(埼玉県狭山市)、ヤクルトレビンズ(埼玉県戸田市)と共に、リーグワンのディビジョン3が戦う舞台となる。

 今シーズンはトップキュウシュウAリーグを二連覇。その後関東、関西、九州の上位2チーム同士で争われる3地域社会人リーグ順位決定戦では、準決勝でヤクルトレビンズ(関東1位)に13-14で惜敗、3位決定戦で大阪府警察(関西1位)に敗れ、4位という悔しい結果でシーズンを終えた。

 しかし、新規参入の審査委員会が、チームの財務や戦績などを最終的に評価し、1月29日のリーグワン臨時理事会で承認された。

 現在、開催中のジャパンラグビーリーグワン(以下、リーグワン)はディビジョン1から3まで合計23チームが所属しているが、全チームが母体となる企業から何らかのバックアップを受けて運営している。
 他のプロスポーツと比べて競技人数が15名と多い上に、身体的ダメージが多いラグビーは試合数も限られるため、興行や運営面でも課題が多い種目と言える。

 そのラグビー界で、過疎化が進むうきは市にゼロからチームを立ち上げ、学校、地域、行政、そして大勢のファンたちと共に歩んできた。特定の企業を運営母体に持たない完全地域密着型のラグビーチームだ。

 協賛企業はすでに300社を超え、現在までにうきは市、朝倉市、大刀洗町、大川市、そして筑後市の5自治体と連携協定を結んでいる。
 福岡県南部の筑後エリアをホストエリアとする。

 1月31日午後6時から、うきは市役所で行われた報告会には、2022年6月にルリーロ福岡と4者間連携協定を締結したうきは市、うきは市商工会、浮羽究真館高校の代表が参席し、ルリーロ福岡の快挙を祝福した。

 うきは市の髙木典雄(たかき・のりお)市長は、選手3名でスタートした設立当時を振り返り、「チーム作りには時間がかかるだろうと思ったが、今では48名に増えた。リーグワン参入は大きな快挙だ。ルリーロ福岡はラグビーの枠を超えて、行政が果たすべき<地方創生>にも取り組んでくれている。」と、地域社会での存在意義を述べた。

チームは2022年6月に4者間連携協定を締結。左から浮羽究真館高校の堤香校長、うきは市商工会の堤豊仁会長、うきは市の髙木典雄市長、ルリーロ福岡の島川大輝代表、安田直樹共同主将、西村光太共同主将。(撮影/李 鍾基)

 設立当初から選手の雇用を受け入れている、うきは市商工会の堤豊仁(つつみ・とよひと)会長は、「当初は試合すら難しいと思っていた。まるでドラマのようだ。商工会としても選手たちの雇用先や協賛企業を増やしていきたい。」と述べた。

 ルリーロ福岡は、島川大輝代表と浮羽究真館高校ラグビー部監督の吉瀬(きちぜ)晋太郎教諭の「ラグビーを通して地域貢献したい」という共通の想いからスタートした。
その後、うきは市と共に「ラグビータウン構想」を掲げた。

 選手3名での船出だったが、徐々に休廃部したチームからも選手が移ってきた。
現在では筑後エリアの企業20社以上が選手の雇用を受け入れている。
 浮羽究真館高校ラグビー部の学生たちは、トップ選手がすぐ隣にいる環境で毎日ラグビーをして、寮では外国人選手から英会話も学ぶ。

「目標を掲げて困難があっても努力を重ねる。私たちが生徒たちに一番伝えたいことです。そんな姿を間近で見せてくださることがとても有難いです」
 浮羽究真館高校の堤香(つつみ・かおる)校長は、生徒たちが選手たちと接する意義を熱く語った。

リーグワン新規参入を報告する島川大輝代表。チーム設立時の計画どおり、2024-25シーズンからリーグワン参戦が決まった。(撮影/李 鍾基)

 報告会の冒頭、島川大輝代表は「地域に支えて頂いたことを心から感謝しております。今回のリーグワン参入は非常に嬉しいことです。そしてこれからがチャレンジだと思っています」と感謝と抱負を語った。

 記念撮影が終わると、やや緊張気味だった選手らの歓声と「勝利の歌」が市役所に響いた。
 実り多き2年目のシーズンを終えて間もないチームは、感謝と来季への希望に満ちていた。

報告会の最後は試合後に歌う「勝利の歌」で締めた。(撮影/李 鍾基)





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