国内 2023.11.11

「もったいない」ことはしない。法大・石岡玲英主将のリーダーシップ。

[ 向 風見也 ]
「もったいない」ことはしない。法大・石岡玲英主将のリーダーシップ。
大東大戦で果敢に攻め上がる法大主将の石岡玲英(撮影:長尾亜紀)


 法大ラグビー部にあって、石岡玲英はずっとリーダーだった。
 
 身長177センチ、体重80キロ。WTBやFBとして走力と危機察知能力を示し、ゴールキッカーを務める。

 何より試合中や練習中の円陣では、下級生の頃から積極的に発言してきた。

 人前に出るのを意識し始めたのは、奈良の御所実高にいた頃だ。

 2年生で全国大会に出られなかったのを受け、「1年生からAスコッド(主力)に入れさせてもらっている自分が頑張らないとだめ。人前に出て話せるようラグビーを理解しよう、前もって他の選手とコミュニケーションを取ろう」と意識を変えた。3年時はリーダーとして全国大会で準優勝した。

「変わろうと思って行動していた。できなくてもいろんな人にチェックしてもらい、トライアル・アンド・エラーを繰り返して…。それが、いまにつながっています」

 進学した法大は、2017年度を最後に大学選手権から遠ざかっている。ここでも石岡は「自分が発信しなければ」と、やはり前に出た。3年時にはこう述べた。

「法大は、中間層から上位を目指す立ち位置です。高校で日本一になるのを目指していた子と、花園(全国大会)に出るために頑張っていた子が混ざっている。僕がチームのために行動できる環境だと思います」

 年を重ねるなか、モチベーションの異なる仲間と歩調を合わせるのを学んだり、自らの意見に同調できる味方を徐々に増やしたりと徐々に進歩した。そして今季、主将となった。

 ラストイヤーのシーズンが本格化するいま、「もったいない」という言葉を用いて現況を語る。

「チームとして、やることを統一しようと考えています。うまい・へた(技術不足)よりも、やろうとしていることをやらないことのほうがもったいない。行くべき方向に向かえていない時に、選手間で言い合えるようにと意識しています」

 いまは日々のトレーニングを前に、「日替わりリーダー」を指名するようにした。ひとりでも多くの部員が組織作りに当事者意識を持てるよう、「勝手にやっていることです」。ここでも「もったいない」を繰り返す。

「練習前に4年生をひとり、選ぶ。その4年生がその日フォーカスしたいことを、皆に共有してもらう。僕が常に言い続けることで、『また言ってるよ』と思われてしまうのはもったいない。それに僕も完ぺきではないので、僕に(意見を)いう人間も必要です。とにかく、いろんな人にしゃべってもらうようにしています」

 加盟する関東大学リーグ戦1部にあって、ここまで2勝3敗。8チーム中4位タイで2試合を残し、上位3傑が得られる選手権行きの切符を見据える。11月11日には神奈川・小田原市城山陸上競技場で、昨季2部から昇格の拓大とぶつかる。

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