国内 2023.11.07

新潟食料農業大が3部優勝を決めた。入替戦は『2部の壁』。関東大学リーグ戦下部

[ 見明亨徳 ]
新潟食料農業大が3部優勝を決めた。入替戦は『2部の壁』。関東大学リーグ戦下部
新潟食料農業大は後半、ゲームキャプテンFL尾沼直樹(モール最後尾)が自ら3トライを奪い優勝を決めた(撮影:見明亨徳)


 関東大学リーグ戦3部は11月5日に第6節をおこなった。
 今季3部に昇格した新興勢力、新潟食料農業大は千葉商科大と対戦。トライの取り合いになったが計8トライを奪い、54ー31(前半14-12)で完勝した。これで6戦全勝。3トライ差以上のボーナスポイント(BP)1も得て、勝点5を加えて29ポイントになった。2位で1敗の東京農業大も38ー28で防衛大を下し勝点22まで伸ばした。しかし、最終戦でBPを含め勝点5を得ても27ポイントで首位に届かず、食農大の優勝が決まった。2部リーグ8位との入替戦へ挑む。

 試合は新潟食農大の強みをいかした展開で始まった。前半9分、千葉商大22メートルの右ラインアウトからモールで前進しゴール前へ迫るも、ノックオンで先制機を逸した。続く敵ボールのスクラムを押し込み奪い取ると、NO8石川智也(4年、桐生一)がポスト右へ最初のファイブポインターになった。キックでチームを勢いづけてきたCTB3年の荒城侃汰(かんた。郡山北工)がコンバージョンを決める。5分後には左ラインアウト・モールのパターンでLO戸倉翔平(4年、坂出一)が仕留め14-0とする。

 千葉商大は「新潟は外のディフェンスが甘い、外へ継続していく」(鷲谷浩輔監督)というゲームプランを遂行する。24分、グラウンドの左エリアから右へ展開しCTB矢内大翔(2年、桐生一)がポスト右インゴールへ運んだ。2年生がチームを引っ張る千葉商大。ゴールキックは2年、強豪・京都成章出身のFB村野仁が決めて7点を返す。
 食農大は自陣へ攻め込まれると反則を犯す。前半だけで9個のPKを与えた。31分の千葉商大、PK起点からWTB加納達矢(2年、磯部)が左隅へ。14ー12と2点差に迫った。

千葉商科大。新潟食農大の弱点、大外防御の甘さをつく。WTB関蔵人がインゴールへ。

 後半、食農大がラインアウトからゲームキャプテンを務めたFL尾沼直樹(3年、常翔)が30分までにハットトリックを達成するなど5トライ追加、47-24とする。ここで7トライと4トライで3トライ差になる。しかし34分、千葉商大が左隅へのキックパスを受けた2年生WTB関蔵人(幕張総合)が回り込んで中央インゴールへ。後半、2本目のキックパスからのトライ、47-31とあきらめない。2分後、食農大はラインアウト・モールでPR岡駿佑(2年、桐生一)が最後のファイブポインターに。40分すぎ、千葉商大は敵ゴールライン上まで迫るも食農大が「最後のディフェンスは良かった」(谷崎重幸監督)。守り切った。

「2部の壁を感じる」、入替戦に挑む新潟食農大・谷崎重幸監督。

 この時点で2位以内が確定し入替戦出場を決めた。谷崎監督はチームの方針「毎年、新しいステージで戦う」について「最初は、確信があったわけではないけれど、言い続けることが大事ですね」としみじみと語った。言い続けることがチーム内で統一されて醸成されてきた。しかし入替戦については「『2部の壁』があります。これまで通用してきたフィジカルなどが対抗できるか」。言葉通り、2部下位と3部上位の入替戦は3部に厳しい。2015年度に3部1位の朝鮮大が2部8位の玉川大を24-18で下して昇格を決めて以来、昇格はゼロだ(コロナ対策で入替戦がなかった2020年度は除く)。尾沼ゲームキャプテンは話す。「外のディフェンスは練習していますが今日もできなかった。残り1試合(千葉大戦)で出る課題を含めて入替戦までに、準備をします。(部創設1期生の)4年生の先輩たちを2部昇格で送り出したい」

東京農業大(紺黄色ジャージー)は第5節で東京都立大を33ー10で下した。1敗を守る。

 3部のもう一枠は5勝1敗(勝点22)の東農大が2位死守を目指す。2敗の駿河台大は東京都立大から11トライを奪う猛攻で67-0と大勝。勝点20にした。最終節で東農大から勝点5を得る勝利を目指す。さらに昨年5位だった東京工業大は前節の試合で前半19-5と食農大をリードするも後半、逆転負け(19-29)。今節は千葉大を55-15で制し4勝2敗(勝点20)とした。駿河台大に勝っており、こちらも入替戦へ期待がかかる。最終節は千葉商大戦。
 一方、4部リーグ上位との入替戦に回る3部下位の争い。開幕6連敗の千葉大、その千葉大に勝った1勝の都立大が圏内だ。

昨年優勝の駿河台大も最終節で逆転2位を狙う(水色ジャージー)。写真は第5節の防衛大戦(35ー14)。
東京工業大は第6節で千葉大に55ー15と圧勝。SH井上夏樹の先制トライ。

<リーグ戦2部>
 1部昇格をかけるリーグ戦2部の戦いも大詰めを迎えている。10月29日の第5節。今季、1部から降格し1年での復帰を目指している関東学院大、2年ぶり復帰を狙う専修大と中央大が順調に開幕4連勝を続けていた。直接対決が始まる。まず関東学院が山梨学院大に21-33で力負けした。専大VS中大戦は専大が53-28と圧倒。専大が全勝(勝点24)で首位。関東学院大、中大が1敗(同20)で続く。山梨学院大も1敗で4位(同19)だ。食農大と対戦する7、8位。全敗はけが人が出て試合メンバーが不足し3試合を棄権した朝鮮大、さらに国士館大。そして1勝の國學院大も圏内にいる。第6節は11月12日におこなわれる。

<リーグ戦4部>
 4部は11月5日に第6節を迎えた。こちらも1年間で3部復帰を目指す玉川大が17-14と順天堂大を下し6連勝。駒澤大も56-25で神奈川大に完勝し全勝。最終節の直接対決で優勝を決める。下位はかつてリーグ戦で実力を誇示してきた埼玉工業大が1勝5敗、喘いでいる。

<リーグ戦5部>
 5部も11月5日が第6節。今季、降格した横浜国立大が東京経済大との全勝対決を31-21と制し6戦全勝。東経大が1敗で2位。「試合を多く戦いたい」と地区対抗関東1区から加わったのが東京海洋大だ。開幕から昨年上位校に3連敗し「実力差を感じた」(鶴留洋一監督)。第4、5節は連勝も、6節は10-24と芝浦工業大に屈した。5部はチーム事情でこれまで8試合が不戦勝の試合になっている。海洋大は、影響なく6試合をこなしてきた。

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