ワールドカップ 2023.10.28

南アとNZのエキサイティングなスピードスター。決勝で輝くのはコルビか、ジョーダンか。

[ 編集部 ]
南アとNZのエキサイティングなスピードスター。決勝で輝くのはコルビか、ジョーダンか。
大舞台に強い南アフリカのチェズリン・コルビ。小柄だがタックルや空中戦でも勇敢(Photo: Getty Images)


 10月28日、チェズリン・コルビは30歳の誕生日をフランスのパリで迎えた。でも、パーティーは日付が変わっているかもしれない。最高の笑顔で楽しめるだろうか。この日、大仕事がある。南アフリカ代表“スプリングボックス”の11番をつけ、ラグビーワールドカップの決勝を戦うのだ。
「私の誕生日を祝うことより、国を代表してここ(決勝)に立つことが私にとって何よりも大切です」
 決戦前日の会見でコルビはそう言った。

 世界屈指のスピードスター。前回大会、4年前に横浜でおこなわれた決勝ではトライを決めるなどスプリングボックス3度目のワールドカップ優勝に大きく貢献した。今大会はこれまで4試合に出て2トライと少ないが、鋭いステップで何度も会場を沸かせ、開催国フランス代表との準々決勝では猛チャージで相手のコンバージョンキックを阻止し、死闘の勝敗を分ける伝説的ビッグプレーとなった。

 連覇へ向けてこう意気込む。
「我々は4年前よりも進化し、経験を重ね、ともに成長してきたチームです。誰がチャンスをつかむにせよ、我々は最高のプレーをし、最高の試合にするつもりです。大きな挑戦ですが、楽しみです」

 スプリングボックスは決勝でベンチメンバーをFW7人にし、控えBKは1人しかいないため、スペシャルポジションのスクラムハーフ(9番)で先発のファフ・デクラークが負傷し交代せざるを得ない状況になった場合、コルビがそのポジションをカバーする予定だ。
「セブンズ(7人制)でスイーパーと呼ばれるスクラムハーフを務めたことがあり、15人制の国際試合でも9番で1、2試合プレーしたことがあります。ファフは、非常事態に備えていくつかのアドバイスをくれました。ファフがけがなく最後まで私たちを導いてくれると信じていますが、どのポジションでプレーすることになっても、チームに貢献できるように全力を尽くすだけです」

NZのウィル・ジョーダン。準決勝ではハットトリックを決めた(Photo: Getty Images)

 一方、ニュージーランド代表“オールブラックス”にも今大会大活躍のウィングがいる。決勝で14番をつける25歳のウィル・ジョーダンだ。ワールドカップ初出場ながら、すでに8トライを挙げており、母国のジョナ・ロムーやジュリアン・サヴェア、南アフリカのブライアン・ハバナといったレジェンドたちに並んで1大会最多タイのトライゲッターとなった。今度の決勝でゴールラインを割って5点を決めれば、新記録樹立となる。

「謙虚に受け止めています。チームが順調に進んでいるなかで決められてよかったです。正直に言って、私は数字をチェックするタイプではありません。常にサポートプレーが好きで、フレームに入ってゲームのシナリオを読んでいました」

 そう話すジョーダンは、これまでワールドカップを含むテストマッチ30試合に出場し、31トライを記録している。通算30トライ到達者として、オールブラックス史上最速の快挙である。彼が少年時代に憧れたという母国の英雄、ダン・カーターは、ジョーダンについて「彼には特別な才能がある。ゲームを読む驚くべき能力を持っている」と称賛する。

 決勝でも活躍が期待されるジョーダンは、チームへの貢献を誓う。
「試合への関与が重要です。飛び込んでトライを決めるのはいつもクールだけど、それは主な目的ではない。ワールドカップで優勝することが私たち全員の目的です。仕事をやり遂げるという意味であれば、喜んでスコアシートにゼロを付けます。これはチームゲームであり、そのなかで自分の役割を果たしたいと思っています。スプリングボックスは偉大なライバルであり、強敵ですが、決勝へ向けて準備をするだけです。そこは私たちが望んだ場所であり、とても興奮しています」

 決勝は現地時間28日の21時(日本時間29日あさ4時)、キックオフとなる。

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