【関東大学対抗戦】後半戦の鍵を握る慶大SH橋本弾介、「自分の強みを出して、チームをコントロールしていきたい」
「きつい試合になるというのは分析の段階で予想できていましたが、それでも競った試合になってしまうというのは、自分たちもまだまだ準備が足りてないなあって感じてます。でも、きつい状況も想定しながら練習しているので、初戦で筑波大に負けた後、その反省をしっかり活かして続く2試合は逆転で勝てたんだと思います」
そう前半戦の戦いを振り返るのは慶大SH橋本弾介(2年)。開幕から3試合スタートメンバーでピッチに立ち、攻守でチームを牽引しているキープレーヤーだ。
今季の慶大は9月9日の開幕戦、インジャリータイムに入ってから筑波大にラスト1プレーでモールを押し込まれてトライを許し18-21と逆転負けを喫した。続く9月17日の立教大戦では、逆にインジャリータイムに入ってから同点に追い付き、最後はゴール前のラインアウトからモールを押し込んで逆転勝利。そして前半戦最後の9月30日、青学大戦は前半リードを許したが、後半20分にようやく逆転して今季2つ目の勝利を挙げた。
「青学は前半の入りがいいチームなので、まず前半の20分の入りをしっかり戦おうと。で、20分で20点取られました(笑)。前日のミーティングで、前半に点を取られたときについても話し合っていたので、慌てずにしっかり立て直すことができました。前半3点差で終われたのが大きかったと思います」
「前半モールのアタックから2つトライが取れて、そこは通用するなと。前半も崩されてトライを取られたという印象はなくて、スペシャルプレーでいかれていたので、しっかり相手陣に入って自分たちの強みであるディフェンスをしていこうと」
逆転してからの後半32分、中盤での橋本のボックスキックを慶大が確保、素早く展開して最後はFB松田怜大をサポートした橋本が貴重なトライを挙げた。
昨季の橋本は対抗戦で4試合にベンチ入りし、3試合に出場。しかしシーズン途中にケガで戦列を離れた。今春もケガに悩まされたが、春季大会の立教大戦(5月28日)でリザーブから出場、6月11日の筑波大戦からスタメンに定着した。
「(春の立教大戦は)久しぶりの試合だったので、どうにかして爪痕を残してやろうと思ってメンタル的にも強気でいけたのが良かった。自分の強みでもある仕掛けの部分や、強気のプレー、ランも出せたと思います」
昨年は1年生ということもあり、まだ様子を見ながらのプレーも多く、受け身だった。それが今年は、自分の強みをどう出していくかを考えながらプレーができるようになったという。
「タックル、キックのところはしっかりできていると思います。それに加え、自分が取り組んでいるアタックで結果が欲しいと思っていたところで立教大戦(9月17日)、青学大戦(9月30日)とトライできたのは自信になりました」
ラグビーは5歳のとき、幼稚園で一番仲の良かった友だちがラグビーをやっていたのをきっかけに、地元のあびこRSで始めた。小学2年の時に学年のキャプテンに任命され、その頃からラグビーが楽しくなり、のめり込んでいった。小学校5年生のときに父の転勤でシンガホールへ。地元のクラブチームで体格差のある欧米人たちともプレーをした。
「その時の経験があるので、いまも大きな相手に対してもタックルに入れるのかなと。かなり大きな経験でした」
その後、中高一貫校でラグビーをやりたいと思い、慶應中等部へ。
「中学のときから大学生に指導してもらったり、タテの強いつながりもあり、慶應に入れてよかったなと思っています」
今季のチーム目標は全国大会ベスト4と早慶戦に勝利すること。
橋本も、ラグビーはやっていなかったが早稲田OBの父親の影響で幼少の頃から早慶戦は毎年見ており、特別な試合ということは薄々感じていた。中学から慶應に入り、早慶戦に対する憧れは強い。
昨年のレギュラーメンバーの小城大和(3年)、杉山雅咲(2年)もケガから復帰してくる。
「彼らももうすぐ戻ってくるので、いまは一から9番のポジションを取りに行くという気持ちです。まずはチーム内の競争を勝ち抜いて早慶戦に出るということ。早稲田にはいいSHが揃っているので、そこでいい勝負ができないと厳しくなる。しっかり自分の強みを出して、チームをうまくコントロールしていきたいと思っています」
伝統の一戦に向けて、橋本の熱い想いがほとばしる。憧れのタイガージャージーの9番を背負い、歓喜の瞬間を迎えたい。
今年、100回目を迎える伝統の一戦は国立競技場で開催される。
Profile
はしもと・だんすけ/2003年4月25日生まれ。170㌢・78㌔。あびこRS・慶應中等部-慶應高-慶應義塾大学法学部2年
立教大戦の逆転勝ち。「ノンメンバーが後ろにいて、その応援の力が大きかったです。彼らが大きな声を出して応援してくれているのに、僕らが諦めるわけにはいかない。大学選手権に出るには絶対に負けられない試合でした」