イングランドが接戦制し20年ぶりのW杯制覇へ前進 フィジーは惜しくも歴史的快挙達成ならず
ラグビーワールドカップで初優勝を遂げた2003年以来の王座奪還を目指すイングランド代表が、苦しみながらも頂上へ向かってまた一歩前進した。2023年のフランス大会は、現地時間10月15日にスタッド・ド・マルセイユで準々決勝第3試合がおこなわれ、世界ランキング6位のイングランド代表は今年8月のテストマッチで屈辱を味わわされたフィジー代表(世界ランク10位)との再戦に臨み、30-24で熱闘を制し、準決勝進出を決めた。
一方、16年ぶり3度目の8強入りとなったフィジー代表は、南太平洋の島国の期待を背負って初のトップ4入りを目指し、終盤に同点に追いついたものの、惜しくも僅差で敗れ、歴史的快挙を達成することはできなかった。
先にリードしたのはイングランド。前半11分にペナルティゴール(PG)で先制すると、14分にも攻めてゴールに迫り、左へ走り込んだCTBマヌ・トゥイランギがパワーでタックルを破りトライを決めた。
その後、相手に3点を許したが、23分にも攻め込んでアドバンテージを得ながらテンポよくたたみかけ、CTBジョー・マーチャントがフィニッシャーとなった。
対するフィジーは、危険なプレーをした選手が10分間の退出となって苦しい展開となったが、28分、敵陣深くに入ってチャンスとなり、イングランドの守りにプレッシャーをかけられたものの、ルーズボールに反応したSOヴィリモニ・ボティトゥが股下を通すパスでつなぎ、NO8ヴィリアメ・マタがダミーでディフェンダーをかわしてインゴールに突っ込んだ。
フィジーはダブルタックルで相手の大柄な選手を外に押し出すなど、ディフェンスでも奮闘した。
しかし、イングランドはキャプテンのSOオーウェン・ファレルがハーフタイム前にPG2本成功で得点を重ね、21-10で折り返しとなった。
後半、タイトな試合展開のなか、イングランドが先にショットでリードを広げたが、フィジーは粘り、64分(後半24分)にWTBセミ・ランドランドラのロングパスからCTBワイセア・ナヤザレヴ主将のゲインもあってゴールに迫ると、クイックリサイクルし、走り込んできたPRペニ・ラヴァイがディフェンスを破ってトライ。コンバージョンも決まり7点差に詰めた。
勢いづいたフィジーはさらに68分、敵陣10メートルライン付近でディフェンダーを引き付けたランドランドラからオフロードパスをもらったLOイソア・ナシラシアが抜け、ビッグゲイン、サポートしたSOボティトゥがフィニッシャーとなり、SHシミオネ・クルヴォリが確実にコンバージョンを決めて同点に追いついた。
しかし、イングランドは72分、NO8ベン・アールやCTBトゥイランギの力走もあって敵陣深くに入り、連続攻撃からSOファレルがドロップゴールを決めて勝ち越しに成功。76分にはフィジーが攻めていたが、イングランドはパスをカットしてカウンターでアールが大きくゲインして敵陣深くに入り、相手に反則があってPGでリードを広げた。
逆転を狙うフィジーは試合終了間際に死力を尽くして攻め続けたが、イングランドが堅い守りで踏ん張り、激闘は6点差でノーサイドとなった。
惜敗となったフィジーのナヤザレヴ主将は、同点に追いついた終盤、チームメイトに「基本を守り、ボールをキープするように言った」と振り返る。ボールを保持していれば、最後にチャンスがめぐってくると信じて執念を見せた。「しかし残念ながら、いくつかのコールは我々の思い通りにはならなかった。でも、それがラグビーだ。私は仲間たちを誇りに思っている」。そして、スタジアムで応援してくれた人たち、故郷のサポーター、今大会を通じてサポートしてくれたすべての人々に感謝を述べた。
一方、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた勝者のファレル主将は、「フィジーは本当にタフなチームで、厳しい戦いだった」と激闘を振り返る。勝ち越しのドロップゴールについては、それまでの過程で「フォワードがすばらしい仕事をしてくれた」と仲間たちの努力を称えた。チームのパフォーマンスについては改善できることはたくさんあると語り、一丸となって準決勝に臨む。