次の日本代表指揮官候補のフラン・ルディケ「代表HCはエキサイティングな仕事。先を見過ぎず、自然な流れのなかで判断を」
10月14日、千葉県船橋市のスピアーズグラウンドでキヤノンイーグルスと対戦。昨年3位のチームと新シーズン初のプレシーズンマッチをおこない、7-31で敗れた。クボタスピアーズを率いる就任8年目のフラン・ルディケ監督は、トライ数で1本-5本の結果にも終始、穏やか。チームづくりのプロセスに対する自信と意欲をうかがわせた。
開幕へ向かうリーグワンの準備の一方で、取り沙汰されるのは、日本代表の新しいヘッドコーチ就任の話だ。奇しくもこの日の対戦相手は、同じくジャパン強化を担う候補者として名前が挙がる沢木敬介監督率いるキヤノンだった。
日本代表へのオファーを受けているかと問われたルディケ氏は、「イエス」と即答した。
◉ フラン・ルディケ氏 プロフィール
FRANS LUDEKE リーグワン クボタスピアーズ船橋・東京ベイ ヘッドコーチ
1968年4月24日生まれ、55歳/南アフリカポロクワネ出身/ヨハネスブルグ大/現役時はFL、NO8/2000年南ア代表アシスタントコーチ、2001年南アU19代表コーチ、スーパーラグビーキャッツ(2002,2006)ヘッドコーチ、2008年にスーパーラグビー ブルズのヘッドコーチに就任し、2015年まで。在任中に2009,2010シーズン連覇を遂げた。ブルズでの149試合での指揮は、スーパーラグビー歴代最多
「今はそのプロセスにあって、今後、面接がおこなわれるのは事実です。すでに一度、オンラインで(選考側と)話す機会がありました。テストのようなこともあった。そのミーティング自体はとてもよかったと思う。次は最終段階の面接になるのでは」
結果、日本代表の指揮官打診を受けた場合の対応については、現職に対する責任感をうかがわせた。
「すべては確定的な事柄ではないのだが、クボタ側には、ナショナルチームのヘッドコーチになることに対するOKはもらっている。もちろん、この判断についてはタイミングのあること。現時点では、クボタスピアーズの今シーズンの仕事をいかにしっかりできるか、に集中している。もちろん、ナショナルチームのヘッドコーチという仕事はエキサイティングなチャンスだと思っている。未確定なことも多いので、判断は、今後の自然な流れの中で。先々を見過ぎずにやっていきたい」
堂々と自分の周りの事実を語るさまは、いかにもこの人らしい。チームとは新たなシーズンへ向けて、1年以上の契約をしていると見られ、優先順位は明らかだ。その上で、チームに対して、代表監督の仕事への意向を話し、現時点での回答を得た上でメディアの質問に答えた。
チームを離れる場合の後任などについてはチーム関係者からも語られていないが、試合会場となったスピアーズの練習場、クラブハウスはいつもと変わらない雰囲気。プレシーズンマッチに臨む選手たちはみな集中した表情で、サポートする選手たちも和やか、賑やかだった。
「結果的にチームを離れることになっても、残された選手やスタッフが困るようなことはしない。フランはそういう人だと、みんな知っているから」。試合を見つめるOBの言葉だ。
今年5月、就任7年目でスピアーズを日本一に導いた指揮官は、就任時のチームを振り返って言った。
「当時から変わらず持っていたのは情熱とハングリーさ。足りなかったのは、自信でした」
チーム文化についてはこんなコメントも。
「リーグワンは特別なリーグ。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、サモア、トンガ、そして日本と、六つの背景を持ったグループが、一つの文化でまとまるというプロジェクト」(ラグビーマガジン8月号インタビューにて掲載)
リーグワンであれ、ジャパンであれ。日本を深く知る名将の今後に注目が集まる。