国内 2023.10.13

マスターズ花園、今年も開催。青山学院、報徳学園、それぞれの思い。

[ 編集部 ]
マスターズ花園、今年も開催。青山学院、報徳学園、それぞれの思い。
報徳学園のOBたち(撮影:宮原和也)

 高校ラグビーの聖地である花園ラグビー場を舞台にして、40歳以上の元高校ラグビーマンらが熱い戦いを繰り広げる交流大会「マスターズ花園2023」が10月7日~9日の3日間に渡り開催された。

 2年目となる同大会は、昨年に続き18校が出場。青山学院、西南学院、新田、伊丹の4校は初出場となった。
 登録選手の最高年齢は、北野高校の大岩重雄さんで95歳だった。

青山学院、初めて聖地の芝生踏む。

 10月7日の初日に北野と対戦した青山学院は今大会初出場。
 仲間を誘ったのは國定精豪さん(60歳)。明大、トヨタ自動車で活躍した元日本代表WTBだ。

 前回大会は秋田工に助っ人として参戦するも、「寂しい思いをした。同じ釜の飯を食った仲間と出たい」と声をかけ、今回の出場に至った。

 メンバー表には俳優の高橋克典さんの名前もあったが、仕事の都合上参加は叶わず。國定さんは、1学年下の後輩にあたる高橋さんからもらったスパイクを履いて出場していた。
「彼の思いはそこに込めました」

「うちの学校は何人(岩渕健輔専務理事ら)かジャパンがいるけど、花園だけは出たことがなかった」という。
 別のOBは、「東京都の(花園予選)決勝は6回行ってるから、われわれにとっては悲願だった」と説明した。

 その勇姿を一目見ようと、スタンドには「70から80歳くらいのおじいちゃん(OB)も見に来てくれた」そうだ。

 國定さんは「現役より先に出ちゃった。勝利は来年にお預けですが」と言って笑った。

 青山学院は大学が2024年に、高校が2030年に100周年を迎える。

報徳学園、父の望みを。

 報徳学園は昨年の大会を経験し、「継続して参加しよう」と決めて今大会にも臨んだ。

「こうしたことがきっかけでOBが集まる。父もそういうのを望んでいた」と話すのは、OBの松浦行展さん(43歳)。
 昨年6月に亡くなった父・雅明さんは、1980年から約35年もの間、OB会長として同部を支えた功労者だ。前田豊彦・初代監督が亡くなった混乱期には、1997年に西條裕朗現監督を招き入れるまでは監督を務めるなど、報徳ラグビーに身を捧げた。

 そんな父の願いは届いている。大会に参加し始めてから、OBたちは毎週土曜に母校のグラウンドで練習するようになった。けがの予防が一番の目的だが、OB同士の繋がりがさらに深くなったのだ。

 今大会は現役生の活躍にも刺激を受けていた。昨季は初の全国優勝(選抜大会・全国7人制)、花園でも初の準優勝を成し遂げた。
「自分の代が西條監督1年目の時で、(昨季までの最高成績である)ベスト4でした。昨年はそれを超えてくれた。ただ、第1グラウンドで最後負けてしまったので、OBは勝とうと。やる気になりましたね」

 あらためて繋がりの大切さを実感する場になった。

【試合結果】
北野(大阪) 43-17 青山学院(東京)
報徳学園(愛知) 49-5 名古屋市立工芸(愛知)
西南学院(福岡) 33-5 膳所(滋賀)
大工大高(大阪) 17-12 大分舞鶴(大分)
黒沢尻工(岩手) 10-10 和歌山工(和歌山)
新田(愛媛) 26-5 阪南(大阪)
磐城(福島) 36-5 伊丹(兵庫)
富田林(大阪) 17-7 市立松戸(千葉)
天王寺(大阪) 32-5 神戸(兵庫)

【Photo Gallery】
写真◎宮原和也

*10月25日発売のラグビーマガジン12月号では、今年創部100周年を迎えた北野高校をリポート予定

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