日本代表 2023.10.09
【再録・解体心書⑦】最高の「2019」に。齋藤直人

【再録・解体心書⑦】最高の「2019」に。齋藤直人

[ 編集部 ]

 そんな思いを胸にスタートを切った2019年は、ワールドカップイヤーでもある。大学4年時に迎える世界的祭典は、学生ナンバーワンのSHにとっても無縁ではない。

 昨年8月下旬発表の第2次ワールドカップトレーニングスコッドには、学生で唯一名を連ねた。また、昨春はジャパンAのNZ遠征メンバーに選出。スーパーラグビーチームのディベロップメント軍と戦い、勝利にも貢献した。桜のジャージーまでの距離は、他の大学生と比べてはるかに近いと言うより、日本のSHの上位にランクされる。

「第2次スコッドに名前があっても活動機会はなかったし、(昨年12月発表の)第3次スコッドからは名前が消えていました。自身がある、ないではなく、そりレベル(の練習や試合)で一度やらせてほしい。そう思います。実際にやれる機会があったなら、自分に何が足りないのか、どこで対等に戦えるのかが分かる。試してもらうチャンスも、自分の力で勝ち取らないといけない。それも理解しています。ただ、そんな気持ちをアピールすることもできないので、呼ばれたときにチャンスをものにできる準備だけはしておきたい。そういった意味でも、毎日を意識高く過ごそうと思っています」

 少しでもいい選手に。向上心が、齋藤を支えている。大学に入ってから個人練習の時間は増えた。毎回の全体練習後、パスやキック、ウエート、フィットネスなどに約90分かける。特にパス、キックは必ずやる。

「パスはアーロン・スミス。ダイナミックさではJTペレナラを参考にしています(ともにNZ代表)。蹴るのはモルガン・パラ(フランス代表)。コナー・マレー(アイルランド代表)もキックはうまいけど、体のサイズが大きいので、参考になるのはパラかな、と。プレースキックも蹴りますし」

 一流選手の映像をチェックするのは日常的。学ぶ意欲にあふれる。

 3年時の春シーズンはCTB中野将伍とともにサントリーサンゴリアスにインターンの形で加わり、所属メンバーと同じ時間を過ごした。

「教わったことはたくさんありました。ポイントからポイントへの中間走時の視野の持ち方であったり、肩の動き。SHも防御側にアタックオプションのひとつと見られるように、相手に対して肩をスクエアにするとか、細かいところを高いレベルで教わり、刺激になりました。サントリーやジャパンAなど外国人選手がいる環境での練習、実戦、それに大学で厳しい試合を経験してきて、自分自身、どんな相手にも気後れすることなく向かっていけるようになった。大学1年の頃は、帝京の飯野さん(晃司/現・サントリー)や堀越さんが向かって来ると怖いと感じることもありましたが、変わった。だから自信があるとかないとかの話しでなく、ジャパンとか、そういったレベルでやってみたい」

 そう話した後、「やってみたい気持ちがある。というのは(自分の中に)自信がある、ということなんですかね」と頬を緩めた。

 タラレバの話として、「もしもジャパンに選ばれたら、大学4年のシーズンですが、是非プレーしてみたい。快く送り出してくれる仲間たちです」とワールドカップの舞台に憧れる胸の内を口にした。

 2019年を、生きてきた中でいちばんのビッグイヤーにしたい。

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