ワールドカップ 2023.10.08

イングランドがサモアに1点差辛勝 ファレル主将の不注意なミスもあり準々決勝へ向け反省も

[ 編集部 ]
イングランドがサモアに1点差辛勝 ファレル主将の不注意なミスもあり準々決勝へ向け反省も
笑顔なき勝利。試合後、サモアの選手たちに拍手で送られるオーウェン・ファレル(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ2023のプールDですでに1位通過を決めていたイングランド代表だが、最後は勇敢なサモア代表に苦しめられた。フランス北部のリール(スタッド・ピエール・モーロワ)で現地時間10月7日に対戦し、イングランド代表は終盤に逆転して18-17で辛勝。それでも、主将のオーウェン・ファレルが「ショットクロック」をオーバーするなどミスが多く、ノックアウトステージへ向け課題を残した。

 イングランドは前半9分に先制トライを挙げ、18分にはCTBファレルがペナルティゴール(PG)を決めて母国のレジェンドであるジョニー・ウィルキンソンの記録を抜き、イングランド代表歴代最多得点者となった。

 しかし、このままイングランドペースとはならず、29点差以上のボーナスポイント付き勝利ならば、日本とアルゼンチンが引き分けた場合に2位通過する可能性があったサモアが奮闘し、22分、自陣でのインターセプトからアタックを継続すると、チーム一体となって辛抱強くボールをつなぎ、最後は細かいパス回しからWTBナイジェル・アーウォンが右外を抜けてトライを奪い返した。

 勇敢なアタッキングラグビーを見せたサモアは29分にも敵陣深くに入ってアドバンテージを得ると、CTBダニー・トアラがクロスキックを放ち、アーウォンがインゴールに押さえて逆転した。

 サモアの勢いは止まらず、32分にはハイパントでこぼれたボールを拾った選手が抜けてインゴールに飛び込んだ。が、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でサモア側にノックオンがあったことが確認され、ノートライ。その後もサモアの猛攻は続いたが、イングランドは踏ん張り、8-14で折り返しとなった。

 後半の立ち上がりもサモアに勢いがあり、PGで点差を広げられたイングランド。反撃は相手のジャッカルで止められたシーンもあり、54分(後半14分)、55分とゴールに迫ったが、サモアのディフェンスに阻まれた。

 イングランドは58分にショットで3点を奪い返し、チームは落ち着くかと思われたが、64分に再びつかんだ得点チャンスでゴールキッカーでもある主将のファレルはPGを選択したものの、今大会導入された「ショットクロック」の規則で定められている60秒以内に蹴らず、得点は認められなかった。主将の凡ミスで、いやな流れは続いた。

 しかし66分、サモアに危険なプレーがあってイエローカードが提示され、数的有利となったイングランドは73分、ゴール前中央付近のスクラムから持ち出したSHダニー・ケアがそのサイドをするりと抜けてトライゲッターとなり、コンバージョンも成功で逆転した。

 今大会最後のビッグチャレンジでジャイアントキリングを起こしたいサモアは終了間際、自陣深くからのカウンターで攻め上がり、サポートプレーも光ってゴールに迫ったが、イングランドは必死に守ってSOマーカス・スミスが青いジャージーに落球させ、その後、ボールをキープし続けて辛勝となった。

 勝ったイングランドのファレル主将は試合について、「ひどいものだった」と振り返る。「全体としてのパフォーマンスの問題だと思う。 もっと改善できることはたくさんあるだろう。厳しいテストマッチを戦えたのは良かったし、それが我々を良い方向に導いてくれると思う」とコメント。自身がショットクロックの時間をオーバーした件については、「時計のことは不注意だった。二度と起こらないようにしたい」と反省した。

 一方、健闘しながらも敗れたサモアのPRマイケル・アラアラトア主将は、「本当に残念だ。結果には言葉を失った。しかし、我々は今夜できるパフォーマンスを80分間見せ、試合に勝つために全力を尽くした。チャンスを逃したこともあったし、決して完ぺきではなかったが、これまでで最高のパフォーマンスだったと思う。我々の国民が故郷で誇りに思ってもらえれば幸いだ」とコメントした。

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