【RWC2023】9番にはマキシム・リュキュが入る。フランス、イタリア戦メンバー発表
9月21日のナミビア戦で頬骨を骨折し、翌日手術を受けたアントワンヌ・デュポンが、10月1日(日)にチームに再合流した。
その日の朝に行われた練習では、チームのヘルスディレクターとS&Cコーチに付き添われ、タッチラインの外で軽いジョギングを30分ほどおこなっていたと報道されている。
同日17時30分からメディアに公開された練習では、グラウンドに設置されたテント内のウエイトルームで個別メニューをこなしながら、時折練習を見学していた。
ナミビア戦直前に膝の不調を訴えて欠場となったアルドリットも練習に復帰、ナミビア戦後練習を見学していたオリヴォンも復帰した。
大会が始まってから、常にグループから離れて所属クラブで調整している負傷者が常にいる状態だった。しかしジュロン、バイユらも復帰し、初めて33人全員が揃った。
「大会が始まって3試合で、すでに33人全員がプレーした。ケガはあったが誰も離脱していない。しかも今週から33人全員が揃った。とてもポジティブなこと」とカリム・ゲザルFWコーチは満足げに述べた。
また、今週からフランスは、「すでにノックアウトステージ」という発言が、選手からもスタッフからも聞かれるようになった。
その2日後(10月4日)、第4戦のイタリア戦(10月6日)のメンバーが発表された。
予想された通り、9番にはデュポンに代わってマキシム・リュキュが入る。ボルドーでSOマチュー・ジャリベールとプレーしているので、お互いのことをよく理解しているし、息も合っている。
「この2人は技術的にお互いを補完し合っている。マックス(リュキュ)のプレーにがっかりさせられたことはない。アタックにおいても、ディフェンスにおいても利他主義の選手。ディフェンスでは9人目のFWと言えるぐらい勇敢な仕事をする」とファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)ははリュキュへの信頼を示す。
アントワンヌ・デュポンの代役を務めるにあたりリュキュ本人は、「(デュポンがケガをしてから)2週間、プレッシャーはあった。僕だけではなく全員が感じていたと思う。キャプテンが負傷したのだから、影響は大きい。僕も確かに感じた。携帯電話の電源をオフにして、自分のことに集中した。アントワンヌ(デュポン)は最優秀選手なのだから比較なんてできない。彼と同じ能力は持っていないけど、僕にもチームのためにできることはある。そこにフォーカスしてきた」と明かした。
デュポンの不在に対しての質問が続くが、「確かにアントワンヌは世界の最優秀選手で、金曜位は15人のそれぞれ5〜10パーセント、レベルを上げ、それぞれが責任を果たして穴を埋めなくてはならないことは全員が認識している。SHがマックスでも、バティスト・クイユーでも、チームのパフォーマンスに不安はない」とNO.8グレゴリー・アルドリットはチームを信じる。
一方、WTBでダミアン・プノーとペアを組むのは、ギャバン・ヴィリエールかルイ・ビエル=ビアレかとメディアやファンの間で議論されていたが、この試合ではここまで好調なビエル=ビアレが選ばれた。
ビエル=ビアレがポジションを獲得したのかとの問いに対してガルチエHCは、「客観的にパフォーマンスとポテンシャルを分析した現時点での選択。ラグビー選手はロボットではない。人間だから多少の調子の上下はある。私たちは常に可能な限り慎重に、客観的に、また正確に分析しており、今回の選考も決定的な物ではなく、この試合に向けてベストなチームを構成した」と説明した。
BKにアンジュ・カプオッゾのようなスピードのある選手を擁するイタリアにはビエル=ビアレが選ばれたが、ノックアウトステージに進出すれば、よりフィジカルで経験のあるヴィリエールが選ばれることになるのではと、相変わらず議論は絶えない。
また、デュポンの不在により、FLシャルル・オリヴォンがキャプテンを務める。
「彼は現体制がスタートした時のキャプテンだった。偉大なキャプテンだった。しかし、その後大きなケガを負った。1人で多大な努力をした。険しい道のりだった。そして今、再びキャプテンになる。これも何かの暗示だ。このことは、選手の成長に寄り添ってきた私たちの4年間の意欲と努力が表れている」とガルチエHCは話はじめ、さらに続けた。
「シャルル(オリヴォン)が1人でリハビリに取り組んでいた間、私たちのバックローの選手について様々な意見が聞こえてきた。時にはシャルルのことを忘れてしまったかのような、また除外するかのような意見もあった。でも、今彼はここにいる。これはシャルルにオマージュを捧げるいい機会だ。まだ負傷して難しい時間を過ごしている選手もいる。しかし彼らは全員グループにいる。彼らに期待してほしい」
指揮官はオリヴォンのこれまでの努力を讚え、現在調整中のHOジュリアン・マルシャンにメッセージを送った。
対戦相手のイタリアは、先週、NZに17-96と大敗を喫したばかりだ。
しかしキャプテンのオリヴォンに油断はない。「(相手の)NZ戦にはこだわらず、僕たちが苦戦したシックスネーションズでの彼らとの試合を分析することに時間を割いた。今週の試合では別のチームになっているだろうし、タックルミスも少なくなるだろう。最初の20分がかなり激しい闘いになる。80分間、決して気を緩めず全力で戦わなければならない」と警戒する。
レ・ブルーの指揮官も「私たちの最大の難関は、傷を負ったラテン人と対戦するということだ。イタリアは強烈に反撃してくるだろう。修正もしたことだろうし、彼らも全てを勝ち取ることができる位置にいる。とても困難な試合になるだろう」と予想する。
「来週、準々決勝の準備をすることができるか、家に帰るかのどちらか」というリュキュの言葉からも緊張の高まりを感じる。
紙の上ではフランスが優勢だが、ラテン同士の対戦だ。何かが起こることもあり得る。
熱い戦いが期待される。