【アジア・オセアニアラグビー交流フェスタ】アジアの友、福岡で繋がる。ともに未来へ
フランス、パリ近郊のサン=ドニにあるスタッド・ド・フランスに集まった約7万8000人の観客は、レ・ブルー(フランス代表チームの愛称)のラグビーワールドカップ開幕戦での勝利で歓喜と興奮に包まれていた。
その約4時間後の9月9日午前10時、日本の“アジアの玄関口”福岡では、第4回アジア・オセアニアラグビー交流フェスタが開会し、2日間に渡って熱戦が繰り広げられた。
舞台は今年6月に福岡市東区香椎浜ふ頭に開所した、日本代表チームの強化拠点「JAPAN BASE」だ。
2018年から始まった第1回アジアラグビー交流フェスタは、アジアでのラグビーの普及を目的に、ラグビーワールドカップ2019(以下、RWC2019)日本大会のレガシープログラムとして始まった。
また、アジアで初めて開催されることになったRWC2019日本大会の機運を、福岡でも盛り上げようと福岡県ラグビー協会が主導して、ジュニア世代を対象に開催された。
2020年から2022年まではコロナ渦によって中止を余儀なくされたが、2023年1月に開催された第3回大会からは、新たにオセアニア地域が追加され、「アジア・オセアニアラグビー交流フェスタ」へ拡大した。
第4回目となる今回からはジェンダーバランスの向上にも積極的に取り組み、初めて女子チームの参加枠が設けられた。
今大会では、男女それぞれ5チームずつ(男子:うきはヤングラガーズ/みやけヤングラガーズ/マレーシア2チーム/バングラディッシュ1チーム、女子:春日リリーズ/福岡ノース/福岡レディースRFC/タイ/バングラディッシュ)が参加し、初日(9月9日)におこなわれたリーグ戦では、それぞれチームカラーを活かして、男女ともに激しい熱戦が繰り広げられた。
2日目(同10日)に実施された混合チーム同士の対戦では、言葉や文化の壁を乗り越えて、自ずと溢れる笑顔と握手、片言でもお互いの国の言葉を掛け合って初日以上に激しいプレーが繰り広げられた。
福岡に誕生したJAPAN BASEで、2日間たくさんの笑顔が生まれた。
2018年の第1回から参加するマレーシアは、クアラルンプール(KL)を拠点とするAチームと、マレーシア北部の都市ペラ(Perak)を拠点とするBチームに分かれて参加した。
今年初めて参加したSyafia Zaikiコーチは、「学生たちも自分自身もたくさん新しい経験ができたことをとても感謝しています。日本のラグビーのレベルはとても高くて、すごく良いチャレンジができました。これからもこの交流フェスタに参加できることを楽しみにしています。」と語ってくれた。
今大会から女子チームの参加枠が設けられた。アジア各国でも女子ラグビーの普及が着々と進んでいるようだ。
10月に行われる九州大会で女子の部福岡県選抜に選ばれている春日リリーズの柴田心美さん(中3)は、「言葉が違うことは難しいこともあったけど、思ったよりも意思疎通ができたことが楽しかったです。海外の友達ができたことが一番印象的で、自分が海外に行った時、その国に友達がいると考えるととても嬉しいです」と語ってくれた。
2日目の混合チーム同士の対戦では、コーチたちも普段と違うラグビーの楽しさ、子どもたちの新鮮な姿に喜びを分かち合っていた。
第1試合でトライを重ねた、うきはヤングラガーズの吉岡紘君(中2)は、「混合チームは短い時間でサインを合わせるのは少し難しかったけど、ゲームはすごくやりやすくて楽しかったです。将来は日本代表になりたいです。」と、これからの目標を語ってくれた。
アジアの友と、笑顔と握手をたくさん分かち合った2日間が終わろうとしていた。
閉会式の最後には、 2日間の司会進行を務めたラジオパーソナリティAnnaさんに続いて、「アジア・オセアニア交流フェスタ宣言」が参加者全員で復唱された。
Rugby creates friends.
Friends walk together.
Friends respect each other.
Friendships have no borders.
We are Asian Oceanian Rugby Family
ラグビーは友達をつくる。
友だちはともに歩む。
友達はお互いを尊重する。
友情に国境はない。
我々はアジア・オセアニア・ラグビーファミリー。
閉会式後、16時から女子日本代表対フィジー代表のテストマッチが、20時からはRWC2023初戦の日本代表対チリ戦のパブリックビューイングがおこなわれた。
女子日本代表戦では、交流フェスタ参加者全員でジャパンのフラッグ片手に大きな声援を送った。
JAPAN BASEで初めて行われたテストマッチは、激闘の末に29-24で女子日本代表チームが勝利を収めた。
アジアの中の日本。
中でも福岡はアジア各国からのアクセスが便利で、かつラグビーが根付いた言わば“ラグビータウン”。
その福岡に一時は存続の危機に陥っていたラグビー施設が、日本代表の常設強化拠点「JAPAN BASE(ジャパンベース)」として誕生したことの大きな意義を、喜びとともに感じた熱い2日間だった。