間に合った! 日本代表のシオサイア・フィフィタ、ワールドカップ行き決定までの道のり。
間に合った。なんとか間に合った。
ラグビー日本代表のシオサイア・フィフィタは今年6月、浦安合宿中の練習で負傷した。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチの説明によれば、「内転筋の筋断裂」だ。
ワールドカップ・フランス大会を今秋に控え、「(復帰までに)時間かかるよって言われたんで、不安はありました」と本人。7月以降に組まれた国内5連戦には出られず、大会登録メンバー入りへアピールできなかった。
同じWTBで速さを披露していたジョネ・ナイカブラ、セミシ・マシレワを「すごいな」と見届ける日々だ。
「リハビリをして、できるだけ早くグラウンドへ戻れたらいいなと」
それでも最後は、大会登録メンバーに入った。
2021年の日本代表デビューから多くの先発機会を得てきた24歳は、7月29日のトンガ代表戦を前に練習に戻っていた。
「その時は痛みとか、残ってましたけど…」
組織内での信頼関係が重んじられるいまの日本代表にあって、前年度までの主力候補がトレーニングに復帰したことはいい兆しと捉えられたか。
初のワールドカップ出場へ、身長187センチ、体重105キロのフィジカルランナーが意気込む。
「ワールドカップという舞台は僕のなかで一番大きな目標だった。日本代表の桜のジャージィを着て、世界と戦いたいです」
2014年に来日。日本航空高校石川へ入った当初は言葉もわからず苦労したが、同級生で現クボタスピアーズ船橋・東京ベイの藤原忍と語らうことで日本語が上達した。「日本人が優しいところ」に惹かれ、この国に愛着を持った。
15年には、ワールドカップ・イングランド大会の日本代表対南アフリカ代表戦をテレビで観た。会場と高校の寮とで時差があったなか、リアルタイムで観戦した。過去優勝2度(当時)の強豪を初めて倒した日本代表には、同じトンガ出身の先輩がいた。
その後を追いたいとフィフィタは思った。天理大入り後も早期の代表入りを目指した。20歳以下日本代表にいた2018年の段階で、19年のワールドカップ日本大会出場を目標に掲げていた。
2020年は、スーパーラグビーに日本から加わっていたサンウルブズと契約した。世界トップレベルの身体衝突に触れ、体重を絞った。まもなくジョセフ率いる日本代表に入り、トニー・ブラウン アシスタントコーチの助言でスキルの幅を広げてきた。
改めて、ワールドカップでの目標を明確に示す。
「やっぱり、優勝したい。その気持ちで日々の練習に取り組んでいます」
ミッションクリアへは「ワンチーム! 皆が同じ絵を見ないと。練習の映像を一緒に観たり、話したことない人を捕まえてしゃべったり。それで段々、ワンチームになっています」。まずは8月26日、トレヴィーゾでのイタリア代表戦出場を目指す。ワールドカップ開幕までに定位置をつかみたい。