ワールドカップ 2023.08.23

サプライズなし。一貫性のある33人。フランス、W杯スコッド発表

[ 福本美由紀 ]
サプライズなし。一貫性のある33人。フランス、W杯スコッド発表
9月8日のW杯開幕戦、オールブラックスとの一戦での先発が予想されるSOマチュー・ジャリベール。(Getty Images)
フランス協会のX(旧Twitter)より



 フランス代表のワールドカップ(以下、W杯)スコッドが8月21日に発表された。

「このリストはスタッフと共に4年間取り組んできたプロジェクトの成果だ。これまでのセレクションの継続であり、一貫性を大切にした。中にはロマン・ンタマックのように負傷してここに名前のない選手もいるが、我々スタッフは総じてこのセレクションに満足している」

ファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)が述べたように、発表された33名のリストに大きなサプライズはない。

 キャプテンのSHアントワンヌ・デュポン、そして彼を支えるリーダーのHOジュリアン・マルシャン、NO.8グレゴリー・アルドリット、CTBガエル・フィクー、FLシャルル・オリヴォン、また決定力を証明してきたWTBダミアン・プノーと、ガルチエHCから『プレミアム』と格付けされていた選手たちの名前がまず見つかる。

 8月12日のスコットランド戦で重症を負い今大会欠場することになったンタマックのポジションには、予想通りマチュー・ジャリベールとアントワンヌ・アストイの2名が選ばれた。
 先週末のフィジー戦ではアストイがスタメンで出場、その後ジャリベールと交代したが、9月8日のNZとの開幕戦の先発はジャリベールではないかと予想されている。

 負傷で長期離脱していたCTBアルチュール・ヴァンサンとWTBギャバン・ヴィリエールも選考に入った。
 ヴァンサンは2021年10月に膝靱帯を断裂し、8か月後に復帰して5試合目で再び膝靱帯を傷めてしまう。怪我からの復帰戦となったスコットランドとの1戦目で後半出場、先週のフィジー戦では先発してディフェンスで活躍、80分戦えることを証明した。

 ヴィリエールは、2021年秋のNZ戦での勝利、そしてシックスネーションズでの全勝優勝に参加した後、足首を負傷。以後、復活しては再発を繰り返し、昨季は所属しているトゥーロンで4試合出場しただけだった。
 しかし、8月12日のスコットランド戦で80分間動き回り、かつてのように次々とラックに突っ込み、2度のジャッカルにも成功。復活した姿を見せた。

 フレッシュな顔ぶれとしては、FLポール・ブドアン(23歳)とWTB/FBルイ・ビエル=ビアレ(20歳)の名前が見られる。
 2人とも代表合宿にはこれまでも参加していたが、今回の準備試合で初キャップを得たばかりだ。

 ブドアンは2021-22シーズン後半からヨーロッパチャンピオンのラ・ロシェルで連戦し、活躍を認められて代表合宿に呼ばれるようになり、8月5日のスコットランドとの一戦目で初めてブルーのジャージーを着て試合に出場した。

 翌週のホームでのスコットランド戦では後半はCTBのポジションに入り、2試合とも80分プレーして代表スタッフの信頼を勝ち取った。

 ビエル=ビアレは2021-22シーズンに18歳でトップ14デビューを果たし、昨季は所属クラブのボルドーで22試合に出場、7月のU20世界選手権に出場しているはずの選手だった。

「シックスネーションズの時から、代表に参加させようか、U20でプレーさせておこうか、毎週メンバー発表の時に悩んでいた」とガルチエHC。

 初キャップのスコットランド戦では、積極的にライン参加してボールをつなぎ、味方のトライを産んだ後、自らもギャップをついて走り込みトライを決めた。

 2戦目は後半出場でFBのポジションをカバーし、3戦目でもボールを持てばラインブレイクし、そのうちのひとつはモヴァカのトライに繋がった。

 昨秋のテストマッチから15に定着したトマ・ラモスの控えを巡って、ブリス・デュランとメルヴィン・ジャミネが競っていたが、ロングキックと正確なゴールキックを持つジャミネが選ばれた。

 また、この選考はSOをカバーできるラモスや、FBもできるビエル=ビアレとのバランスも考慮されている。

 現在、負傷で戦列離脱している、左PRシリル・バイユとFLアントニー・ジュロンもメンバーに入った。
 ンタマックが負傷したスコットランド戦でバイユは肉離れ、ジュロンは2月のスコットランド戦での膝十字靭帯断裂から奇跡的な速さで回復させている。

 2人とも9月中旬には戦列復帰が見込まれていること、また2人の選手としてのレベルを考慮して、合宿の練習中に負傷したLOロマン・タオフィフェヌアと一緒に代表グループ内に残り、復帰に向けてトレーニングを続けることにした。

 平均年齢26.8歳、平均キャップ数24.4。
「このグループは一貫性を持ち、バランスが取れた形でプール予選を乗り切る力を持っている」とガルチエHC。

 キャプテンのデュポンに対しては、「彼のミッションは、彼らしくあること。彼という選手でいてくれること。彼はこのミッションのためにチームメイトを結束させなければならない。アントワンヌ(デュポン)はその潜在能力を秘めている。私たちは大いに期待している」と全幅の信頼を寄せる。

 今週末のオーストラリア戦は必ずしもこのリストの33人が出場するとは限らないとも言っている。
 準備試合の目的は成長すること。9月8日の開幕戦に向けて。


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