ワールドカップ 2023.08.03

「いま、日本がホーム」。日本代表のフィジアンWTBコンビ、母国との対戦にエナジーわく

[ 編集部 ]
「いま、日本がホーム」。日本代表のフィジアンWTBコンビ、母国との対戦にエナジーわく
キック力も期待されるマシレワは31歳。(撮影/松本かおり)
普段はシャイも、大胆に動くナイカブラ。29歳。摂南大卒。(撮影/松本かおり)



 フィジアンふたりが日本代表の両翼を担う。
 8月2日に秩父宮ラグビー場でおこなわれるフィジーとのテストマッチで、ジョネ・ナイカブラが11番、セミシ・マシレワが14番を任された。

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 ふたりはそれぞれ、同国最大の島であるヴィティレヴ島と、ガーデンアイランドと呼ばれるほど綺麗な、タベウニ島の出身。
 母国代表との対戦に気持ちが昂る。

 ナイカブラは、「特別な気持ち。戦えることが楽しみ。ゲームプランを理解して、自分のやるべきことを遂行したい」と力を込めた。
「BKから、FWにエナジーを与えるようなプレーをしたい。ハードワークをします」

 マシレワは「母国との対戦でいろんな感情が入り混じると思います。国歌を聞いたら心が動くかもしれませんが、日本代表として戦っています。ここが僕のホーム」と話した。
「ボールをキープしてたくさん走りたいですね。ただキックも使いながら、スマートに戦いたい」

 攻守の変わり目、トランジションの局面は、両チームが得意とする状況だ。
 そこで攻め切ることができるか、守れるかで、戦況は大きく変わる。

 マシレワは、フィジーについて「アンストラクチャーが得意なチーム」と警戒する。
「コミュニケーションをとって守らないといけません」
 バックスリーの連係は試合を重ねるごとに高まっている。
 ナイカブラとのふたりでの対話はフィジー語で、全体に意思を伝えたい時は英語で声を発する。

 今季のマシレワは、オールブラックスXVとの2試合に11番で先発した。その第2戦では2トライを奪う活躍だった。
 7月29日のトンガ戦では、2021年(アイルランド戦、オーストラリア戦)以来のキャップを獲得(通算3キャップ)。その期待に、トライ奪取で応えた。

「試合ごとに出た課題を修正してパフォーマンスを上げていきたい。その結果、ワールドカップのメンバーに選ばれたらいいですね」

 仲間のことが好きだ。「大笑いすることが多いチーム」と言い、多様性を認め合う雰囲気を気に入っている。
 様々なカルチャーを持つ選手が集まってこそ生まれるパワーがある。

 マシレワがアタック力で存在をアピールする一方、ナイカブラは決定力に加えてディフェンスでの評価も高めている。
 ハードに動き、体を張る。

 177センチと大柄ではないが、相手のキックに対して、「バックスリーのコンビネーションで対応しています」と、日頃から意識を高めていると話す。
 普段はシャイで口数も多くないものの、指示の声は別だ。

 今季はオールブラックスXVとの2戦、サモア戦、トンガ戦と、ここまでの全4戦に、14番、14番、11番、14番で出場してきた。
 サモア戦で初キャップを得ると、トンガ戦ではテストマッチ初トライも奪った。

 セブンズ日本代表として、この国を代表してプレーした経験はあるものの、15人制代表の栄誉はまた格別だ。
 トンガ戦のトライを振り返り、「長くこの日本代表でプレーしたいと思ってきました。トライできて、やっとチームに貢献できた喜びを感じています」と言った。

 チームマン。宮崎のトレーニング施設の室内練習場には、チームが大切にしているワードが多く書かれている。
 その中の『BOND』という言葉を好む。それは、一人ひとりがコネクトする意識を高めてくれる。

「『SHOULDER TO SHOULDER』の言葉も大事だと思っています。隣に立っている仲間と力を合わせてゴールに到達する、という意味です」

 母国との対決は、ワールドラグビー・セブンズシリーズ2016-17の香港大会で、すでに経験済みだ。
 ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、このふたりの中に生まれる特別な感情も、チームに勢いを生むものになると考えている。


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