ラグビーでまちを活気づける。運営を担う経験はラグビーにも生きる。『御所ラグビーフェスティバル』開催
夏は若者が大きく成長する季節だ。そしてそんな若者たちのハツラツとした姿は、周囲の人々にも元気と活力をもたらす。
全国各地の高校が集結し、切磋琢磨する機会として、この時期恒例のイベントとなっている「御所ラグビーフェスティバル」が、7月21日から27日にかけて行われた。日曜日の23日には御所市民運動公園で開会セレモニーが催され、ゲストとしてラグビー芸人のしんやさんや、日本ラグビー応援ソング「楕円桜」でおなじみのシンガーソングライターの渡瀬あつ子さん、毎日放送の赤木誠アナウンサーが登場。会場内には地元の名産品やラグビーグッズを販売する出店エリア、ラグビー体験ブースに縁日コーナーなども設けられ、多くの来場者でにぎわった。
練習中の不慮の事故で亡くなった北島弘元さんへの追悼として平成3年に7校が参加して始まり、回を重ねるごとに交流の輪を広げてきたこのフェスティバル。33回目を迎えた今年は全国各地から実に38チームが集まり、御所市民運動公園と御所実グラウンドの2会場を舞台に、7日間にわたって多くの貴重な実戦経験を積んだ。なお今回は地域住民のサポートを受け、各チームの宿泊先として御所実の施設とともに御所市内の公民館なども活用された。
フェスティバルの発案者にして現在の発展に導いてきた御所実の竹田寛行監督が、感謝の思いを口にする。
「地域を目覚めさせるチャンスということで、今回はみんなで一気にイベントを大きくしようと取り組んだんです。県のくらし創造部やスポーツ振興課、御所市の東川裕市長、青年会、商工会にも働きかけて、いろんなことを手助けしてもらいました。ここまで広げていくのは大変でしたけど、今は中谷圭先生(御所実コーチ)が全部仕切ってやってくれています。本当にありがたいですね」
なおこの御所フェスティバルでは御所実のラグビー部員がホスト役となり、会場設営から試合進行のサポート、施設の清掃などの運営を担っている。朝一番に会場入りし、炎天下でさまざまな仕事をこなして、会場を出るのは日が暮れる頃というハードスケジュールだ。その狙いを、竹田監督はこう明かす。
「自分たちはほとんど試合をせず、他校が試合をするために運営サイドに回るイベントなんて、なかなかないですよね。でもそこで、来た人がまた来たいと思う運営をできるようになってほしいんです。そうした運営力、周りへの気遣いが身につけば、ラグビーのプレーでもこれまで気がつかなかったことに気がつくようになる。それは必ずチーム力にもつながります」
部活動改革として地域スポーツへの移行が進められるなど、学校部活動はいま大きな転換期を迎えている。そこでますます重要になってくるのが地域との連携だ。チームと地域が一体となって未来を担う若者を育て、そうした環境で成長した若者の活躍が地域を活性化させる。そんな幸せなサイクルが、ここ御所の地にはしっかりと根づいている。