日本代表に新たな概念もたらす。坂手淳史のリーダーシップを振り返る。
ラグビー日本代表の坂手淳史は昨年、主将を任された。2016年秋に結成された現体制のジャパンに、新たな概念を植え付けた。
『OUR TEAM』
すでに根付いていた『ONE TEAM』というスローガンを昇華させ、参加選手がよりチームに当事者意識を持つよう促した。
ちなみに『ONE TEAM』は、2019年に「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれている。チームは同年、ワールドカップ日本大会で史上初の8強入りを果たしていた。
次のワールドカップは今秋、フランスで開かれる。
日本代表は、初優勝を目指す今度の大会を「エベレスト」にたとえる。
昨秋のツアーは「ベースキャンプ」と位置付けた。プレースタイル、心構えを再確認した。
その間、坂手は『OUR TEAM』のほかにも新たなキーワードを掲げた。
「絆」
「勇気」
「導く」
いずれもリーダー同士で話し合い、抽出した言葉だ。
「僕たちはひとりでは戦えない。強固な絆をどう作るか(が肝)。そして自分たちよりレベルが高いと言われる国々と戦っていくことや、そのためにハードワークしていくためには勇気が必要です。また、これらを誰かに任せるのではなく、全員がドライブする――導くのも大事です」
今年の活動が本格化したのは6月12日から。約3週間の浦安合宿では、心身を追い込むメニューが続いた。
今年の主将は、まだ発表されていない。
坂手はこう述べる。
「誰が主将になろうと、どういうチームにしたいかは全員が共有している。チームがいい循環になるよう、目標に手が届くよう、チームをよくしていくため、立場、立場で(すべきことを)やる。まずは、全力でプレーしたいです」
対外試合が続く7月中には、主将が発表される見込みだ。
現在、別メニュー調整中という坂手は、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチから「まず身体(のメンテナンス)にフォーカスしてくれ」と告げられているという。
「いいコンディションで戻れるようにしたいです」
身長180センチ、体重104キロの30歳。どんな立場に置かれても、人を惹きつけるキャラクターと強烈なタックルで魅する。