ルーキーSO西仲隼が躍動。東京ガスがトップイースト春季交流戦トーナメントで優勝
ホームグラウンドで若い選手たちが躍動した。
6月24日、2023トップイーストリーグ春季交流戦トーナメントの決勝が大田区・大森の地でおこなわれた。
頂点に立ったのは東京ガスだ。
力を伸ばす日立Sun Nexus(以下、サンネクサス)に34-26と競り勝って優勝を決めた。
前半3分過ぎの先制トライを皮切りに、ハーフタイムまで4トライを重ね、28-7とリードを奪った。
4トライのうちの2つは、相手の反則を誘い、PKで前進。モールで押し込んで奪ったものだった。FWが力強かった。
後半に3トライを許し、終盤に5点差に迫られるシーンもあった。
しかしブレイクダウンを制し、1PGを追加してファイナルスコアを刻む。
鈴木達哉主将(FL・NO8)らが出場しないメンバー構成で掴み取ったタイトルは、チームの成長を後押しするだろう。
この試合で10番を背負い、チームを勝利に導いたのがルーキーの西仲隼(にしなか・はやと)だった。良いゲームコントロールを見せた。
相手ミスに素早く反応し、先制トライを奪う。チームに勢いをつけるプレーだった。得意のキックも効果的に使った。
2季連続で全国大学選手権4強に入った京産大から、今春入社した。大学ラストイヤーはSOに定着した。
大学選手権でも司令塔として責任を果たし、準決勝では早大と対戦。33-34と敗れるも3G4PGで18得点と、実力を見せた。
172センチ、80キロで近大附属高校出身。キックとランに自信を持つ22歳は、試合後に「強みのキックで、チームを前に出せました」と笑顔を見せた。
試合途中、相手のスパイクが頭部に当たり、4センチの裂傷を負う。頭をぐるぐる巻きにしてピッチに立ち続けた。
その実力を考えれば、リーグワンチームでもプレーできただろう。
ラグビー100パーセント、仕事100パーセントのチームを選んだのは、人生を長い目で見て考えた結果だ。
「ここで成長していきたい」と、グラウンド内外に魅力のあるチームを選択した。
大学時代は5時30分に起床し、6時からウエートトレに励む日々を送ってきた。
いまは6時頃起きて職場に向かう。川崎から世田谷への通勤時間は約60分。「学生時代とは違う疲れがあります」と話す。
仕事を終えて練習し、夜遅くに帰宅。ふたたび朝を迎える。
「しんどいな、と思う時もありますが、チームの雰囲気がすごくいいので、練習がリフレッシュになっています」と充実した日々を語る。
現在はまだ研修中で、本配属はまだ決まっていない。
大学時代は個人練習の時間もたっぷりあった。キックなど個人スキルの高さは、その積み重ねの成果だ。
社会人となり限られた時間しかラグビーに注げなくなったから工夫するしかない。
「全体練習後、長く残ることはできません。なので、少しはやくグラウンドに出たり、残ったり、少しずつの積み重ねをするようにしています」
そんな工夫をすることでも、力を伸ばせると証明したい。
「先輩たちの姿勢に学ぶことは多い」と話す。
大学時代の同期、家村健太の活躍もいい刺激になっている。
静岡ブルーレヴズに入った友は、アーリーエントリーからデビューを果たした。2月の東京サンゴリアス戦に出場するとSOとして定着し、シーズン終了までに8戦に出場した。
試合後に連絡を取り合うこともあった。「刺激になった」のは当然だろう。
だから自分も、選んだ道でやれることをやり切る。
チームはまだリーグワン参戦の意思は示していない。しかし、継続的に力を蓄え、結果を残し続けることが大事だ。
機が熟したときに、最高峰リーグで戦っていくにふさわしいチームとなっておきたい。
司令塔として、「秋には後半にフィットネスが落ちないチームにしたいですね」と話す。
この日は、同じルーキーの繁松秀太(東洋大/CTB)も先発し、トライを奪った。
社会人でも、観る人の琴線に触れるラグビーを実践したい。