国内 2023.06.04

地元への優勝報告会に350人。江戸川区長、自らMC務める。スピアーズGM&選手を圧倒する「おめでとう」

[ 編集部 ]
地元への優勝報告会に350人。江戸川区長、自らMC務める。スピアーズGM&選手を圧倒する「おめでとう」
6月2日、江戸川区役所内に集まった区民、オレンジアーミーに祝福を受けるチームの石川充GMと選手たち(撮影/BBM)

「まさか区長が司会をしてくださるとは…」

 スピアーズの石川充GMがスピーチの冒頭で驚きを笑顔で語った。

 6月2日、江戸川区役所でリーグワン優勝の報告会がおこなわれた。「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ優勝報告会」と記された大きな横断幕。本来は中庭で開催され、より多くの区民に開放されるはずだったが、荒天により室内でのセレモニーに。報告に訪れたスピアーズのため多くの区民、オレンジアーミー(スピアーズファンの愛称)がお祝いに駆けつけ、職員、メディアらを合わせ350人が、初優勝を遂げた地元チームを迎えた。

「感動をありがとうございます!」

4月に再選、2期目を迎える江戸川区・斉藤猛区長(撮影/BBM)

 チームシャツを着込んでマイクの前に立ったのは斉藤猛・江戸川区長だ。自ら進行役を務め、会場一体となってお祝いと喜びを伝えた。

 チームからは石川GM以下、4選手が報告に足を運び、喜びと感謝を直接伝えた。

「こうしてお会いすることで優勝の実感が湧いてきました」(末永健雄)

「チームの成果は区民の皆さん、オレンジアーミーの皆さんのおかげ」(近藤英人)

「えどりくフィールドの雰囲気が大きな力になっています」(岡田一平)

「またいい報告ができるよう頑張ります!」(立川理道=たてかわ・はるみち/主将)

 区とチームのオフィシャルのイベントながら、それぞれの一言の前に選手たちが「こんにちは」、場内から「こんにちは」のやり取りがあるのが、このチームらしい。区内の松江第三中学校の男女生徒5人からは花束の贈呈も受けた。地元地域、行政とチームの一体感がうかがえる会になった。

 スピアーズは今季、ホームスタジアムの江戸川区陸上競技場のネームイングライツを取得、ホスト8試合すべてを、実質収容数5000(リーグワンが示す基準規模は1万5000)の「スピアーズえどりくフィールド」で開催してきた。

 ラグビー体験企画や子ども食堂へのサポートなど、チームが区の取り組みに賛同しての協業も回数を重ねている。 

 SDG’sを掲げ共生社会の実現を謳う区にとって、5年におよぶパートナー関係にあるチームが日本一に上り詰めたことは、行政上も大きな効果が期待されるイベントとなる。

 石川GMは区とのつながり、多くの区民を含むオレンジアーミーの存在がチームの運営面に大きな後押しとなったことに触れた。

「えどりくフィールドを多くのファンが埋めてくださった。優勝を成し遂げることができたのは、現場の強化と、こうした運営上の取り組みの両面がうまく回り、噛み合った結果だと考えている」(石川GM)

 一方で、スピアーズのホストとのつながりは数字にはまだ表れていない。チーム別の集客成果は、戦績とは対照的に下位(リーグワンD1において)。えどりくの今のスペックでは、毎回実質満場5000人の集客があったとしても、特設スタンドなどのコストもあり、赤字となってしまうのが現状だ。時間が経つほど財政は圧迫される。

 斉藤区長は4月の区長選挙において、「えどりくの拡張」の文言を公約の一部に挙げ、2期目の当選を果たしている。(政策の五つの柱として挙げた「夢と希望、そして魅力あふれる江戸川区へ」の一つとして/斉藤猛氏のホームページ)。

 これまで長い使用実績があり、オリンピック時も出場選手たちの公式練習場となった陸上競技とのすみわけ、用地の問題など課題はある。区も区長自身も、えどりくのあるエリアに賑わいを作ることは重要な課題として捉えており、今後の具体的なプランの立案と進展、とりわけそのスピード感が注視される。

多くのメディアも集まった(撮影/BBM)

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