どこにいても攻める。覚醒の3年目となるか。徳永優太[日大/SO・FB]
フミヤ! フミヤ!
9番の4年生、齋藤史哉は佐賀工の先輩でもある。
SO徳永優太(3年)はスペースがあると見るや、サイドチェンジしてボールをもらう。
積極的に動いてチームにモメンタムを与えた。
5月28日におこなわれた関東大学春季大会(Bグループ)の日大×法大は、日大が69-22と大勝した。
日大の10番は、チームを勝利に導く働きを見せた。
前半5トライ、後半6トライと、合計11トライを奪った試合は、強い向かい風を受ける中で始まった。
その前半を「キックができない状況で、うまくアタックできなかった」と振り返る。
「(ボールを)まわそうと思っていました。しかしコミュニケーションがうまくとれていなくて、(外が)余っている時に(自分が)パスダミーから走り、チャンスをつぶしてしまうこともありました」
それでも、積極的な動きが仲間を前に出していた。
後半はチームの奪った6トライのうち、2トライを自身が挙げた。
その40分は、FB、WTBの位置に立ってプレーした。
29分のトライは、ブラインドサイドWTBの位置にいた。
スクラムから直接パスを受けてインゴールの左スミに入る。
後半36分は、相手の蹴ったキックを受けて30メートルを走り切る。軽快なステップでディフェンスを翻弄した。
アタックが強みと自覚する。
WTBの位置から奪ったトライを、「自信があったので、ブラインドで勝負しました」と振り返った。
今季の春季大会は全3試合で10番を背負って先発も、この試合同様、幅広くプレーしてきた。
佐賀工時代から15番、10番の両方でプレーする。
FBが第1希望。大学でも両ポジションを行き来するのは、コーチからのアドバイスもあったからだ。
良いFBになるためにも、別のポジションを経験することを勧められた。
「以前はできていなかった動きや、コールができるようになった」と、複数ポジションを経験するメリットを感じている。
アジリティ(敏捷性)には自信がある。だから、自分で行く、と決めたら強い。
ただ、周囲を生かすのが苦手だった。そこが改善されつつある。
大学に入学してからの2年間は、ベンチスタートでの出場が続いた。
入学時は、早い時期から定位置をつかめると考えていた。
しかし、甘くなかった。
「上級生は力のある人ばかりでした。多くの人たちがリーグワンのチームに進みました」
昨季のBKラインはSO饒平名悠斗がリードした。
その饒平名は三重Hへ。ジョアペ・ナコ(3年)とCTBでコンビを組んだ広瀬龍二とWTB水間夢翔の2人は日野RDへ進んだ。
もう一人のWTBナサニエル・トゥポウはGR東葛へ。FB普久原琉も横浜Eで活躍を期す。
「饒平名さん、普久原さんは、周りを使うのがうまく、勉強になりました」
才能豊かな先輩たちの存在に先発の座はつかめなかったけれど、途中出場とBチームの試合で力を蓄えた。
今季は、積み上げたその力を発揮する時だ。
熊本出身。帯山中学でラグビーを始めた。
高校進学時、県外でやりたいと高みを目指した。流経大柏への進学も考えたが佐賀工に決めた。情熱的に誘ってもらったからだ。
期待に応えたいと決断した。
昨季のチームは高い潜在能力を秘めていたが、リーグ戦の4位に終わった。
不完全燃焼のシーズンだった。
その理由を、「前の年までは、FWで圧倒して反則を誘い、PK、ラインアウト、モールでトライを取る、という軸がありました。それが、(指導陣の変更もあり)昨シーズンは展開ラグビーにスタイルが変わった。すぐには結果を出せなかった」と自己分析する。
「でも、昨シーズン取り組んだことが、いま生きていると思います」
仲間が力を発揮できるように、中核の一人としてチームを牽引する気持ちは強い。
将来はリーグワンでのプレーを希望する。
「いろんなポジションで力を出せる。そこも、自分の強みと評価してもらえたら嬉しいですね」
「持ち味を出して、チームを勝たせたい」と決意する。言葉通りの結果を残し、より多くの人に自分のプレーを見てもらいたい。