早大1年でU20日本代表の矢崎由高、飛び級選出に至る「考え」。
早大1年の矢崎由高が光った。
5月21日、本拠地の東京・早大上井草グラウンド。関東大学春季大会Aグループの東洋大戦で、大学の公式戦での初先発を飾る。
11番のWTBとして、スペースにボールを呼び込み3トライ。味方のキックを追いかけ、捕球役へタックルする動きでも光った。
本人は淡々と述べる。
「いままで出ていた選手の穴埋めのような感じで出させていただいた。得点に絡めたのはよかったですが、自分の力だけでは取っていないです。接点で激しく行くことは、試合に出る以上はやらなければいけない。そこに特別な思いはないです」
世代有数の才能と謳われる。
身長180センチ、体重84キロ。桐蔭学園高時代は1年目からFBでレギュラーとなり、全国高校大会での連覇に喜んだ。
最終学年では神奈川県予選決勝で敗れたが、「それはそれ、これはこれです。(全国に)行けなかったから腐るのではなく、行けなかったからこそ成長する」。高校日本代表の欧州遠征に帯同し、対U19アイルランド代表2連戦を1勝1敗とした。
その間、同代表のコーチ陣には、練習意図を理解する力、プレー中のコミュニケーションを高く評価された。
「高校に入ってからは、考えろ、考えろと言われて、考える量が圧倒的に多くなって。自分の解釈が間違えることもあるのですが、それをまず言葉にして伝える(のが大事)。…そうして、言われたことをただ聞くだけではなく、それに対して意見を持つことができているんだと思います」
このほど、20歳以下(U20)日本代表に飛び級で選ばれた。事前にはこう話していた。
「もちろん、世界の舞台でチャレンジしたいです」
同代表は3年ぶりに活動再開。5月上旬には「ジュニア・ジャパン」名義で、フィジーでの「パシフィック・チャレンジ2023」に参加した。環太平洋諸国の若手チームを相手に3戦1勝2敗だった。
6月には南アフリカでの「U20チャンピオンシップ」へ突入する。予選プールの同組はフランス、ウエールズ、ニュージーランドといずれも強敵だ。組織、個々とも底上げが求められるチームにあって、矢崎はカンフル剤となるか。
5月27日には東京・秩父宮ラグビー場で合流後初の実戦に挑む。ニュージーランド学生代表との一戦でリザーブに入った。
早大の大田尾竜彦監督は太鼓判を押す。
「よかったのはキック処理。(大学レベルでも)全く問題ない。(U20日本代表が)どういうセレクションポリシーでやっているのかはわかりませんけど、(矢崎は)将来的なことを考えれば(ハイレベルな)経験を積ませる(に値する)存在。もちろん強制はしませんが、ここ(早大)以外のところでラグビーをするのもいいことだと考えています」
かたやU20日本代表のロブ・ペニーヘッドコーチは、慎重な構えだ。
「(評価は)土曜にやってみて、改めてお答えします。まだ映像でしか確認していませんので。南アフリカでのベストメンバーは確定していない。チャンスはあります」
当日の働きは、観る者にポジティブな印象を与えられるか。