大野均さんの熱い記憶。J SPORTSで放送・配信中の『ラグビーワールドカップ100選!』、終盤戦へ。
J SPORTSで「ラグビーワールドカップ100選!」 一挙放送・配信中!
そして第4戦は、日本中を熱狂させ、世界を驚かせたプールステージ最終戦のスコットランド戦である。大きな期待と重圧がかかる中、日本は28-21で濃紺のジャージーに勝ち、初の8強入りを決めた。
4トライを奪ったとはいえ、試合は終始拮抗していた。「相手FWがパワー全開で出てきた時は押し切られたシーンもありました。しかし、そこで流れを渡さず、取り戻す強さがあった」
大野さんとスコットランドの縁は深い。2004年に初めて代表に選出された。同年秋、ヨーロッパ遠征メンバーに入り、海外で初めてのテストマッチを戦った相手がスコットランド。結果は8-100だった。
「不甲斐ない」プレーで、後半にはベンチに下げられた。
98キャップ目の相手もスコットランド戦だった。2016年6月に味の素スタジアムで戦った。16-21と逆転負けした試合で、大野さんはハードワークし続けた。試合後は体重が7キロ落ちていた。
その日の夜は大変だった。全身痙攣。熱中症で脱水症状に苦しんだ。一晩中嘔吐し、ベッドの上で、「これだけ出し切っても勝てなかった。スコットランド強えな、と思いました」
そんな因縁深い相手に赤白のジャージーが勝ってくれた。過去の苦い思い出がフラッシュバックした。「試合の最後、スタジアム全体がカウントダウンする中で、ヤマちゃん(FB山中亮平)が蹴り出した。あの瞬間は最高でした」
WTB福岡堅樹の快足。みんなでつないで奪ったPR稲垣啓太のトライ。すべて鮮明に覚えている。
準々決勝の日本×南アフリカは感慨深かった。
前回、自分たちが勝った相手が、その敗戦を糧に日本を分析して戦いに臨み、完勝した。「ラインアウトなど、かなり研究されていたように見えました。そして、南アフリカは余力を残してベスト8に進出していた。日本は、すべてを出し切ってたどり着いていた」あの舞台で勝つのは、また違う次元とあらためて知った。
W杯の記憶を辿る途中、大野さんは楽しそうだった。
開催地で味わった興奮、悔しさと、ファンとの触れ合い。世界中の人が注目する舞台の空気は特別だった。過去の名勝負を見ていると、そのときの熱気がよみがえってくる。新たなドラマとの出会いが待ち遠しくなる。今秋の熱戦が待ち切れなくなる。