国内 2023.04.22

出場機会ゼロで決めた本気の「覚悟」。堀米航平[ブラックラムズ東京/SO]、躍進の理由

[ 明石尚之 ]
出場機会ゼロで決めた本気の「覚悟」。堀米航平[ブラックラムズ東京/SO]、躍進の理由
堀米航平は正確なキックを武器にする、ゲームコントロールに長けた司令塔。流経大柏、明大を経て、2018年にリコー加入。愛称はゴメス(撮影:黒崎雅久)

 前節で入替戦回避が決まったブラックラムズ東京は、このあとのリーグ戦第16節(対相模原DB)が今季の最終戦だ。
 10番に入るのは、堀米航平。今季はここまで15試合中11試合に出場、10試合に先発した。
 入団6年目にして、キャリアハイである。

 2シーズン前の最後のトップリーグでは、出場機会ゼロ。躍進の理由に、当時の「覚悟」があった。

「アイザック(ルーカス)がきて1試合も出られず、ラグビーを辞めようかなと思ったこともあります。でも家族やいろんな方のサポートもあって、諦めずにもう一年頑張ろうと。本当に変わりたかったんです」

 10歳から始まったラグビー人生で、1年間公式戦に出られなかったのは初めてだった。悔しかった。落ち込んだ。もうこのチームでは出られないのではと思った。

「でも、オフシーズンになって、落ち着いて自分にベクトルを向けられるタイミングが来た。この1年自分がどのくらいできたかを考えると、全然ダメだったし、アピールも足りなかった。出られないのは自分の実力不足だと」

 その時にラグビー人生で初めて「覚悟を決めた」。まず、ライバルのアイザック・ルーカスと同じ土俵で戦うために、プロ選手になった。1試合も出られなかった選手の熱い思いを理解してくれた、西辻勤GMには感謝しかない。

「(加入)3年目で一度も試合に出られなくて、翌年プロになってまた試合に出られなかったらおそらくクビ。とにかく変わるしかないと」

 誰しも遠ざけたくなる、自分の悪いところを性格含めて芯まで振り返った。自分にコントロールできることは、すべてあらためたつもりだ。

「食事でいえば、ただ栄養バランスのいい食事とかではなく、自分に合ったものを探しました。以前は朝はパンを食べていたけど、オートミールにフルーツを入れた方がお腹の調子が良かったり、肉より魚を食べた方がコンディションが上がるなとか。YouTube(3年前に開始。登録者数1万人超え)には魚の動画ばかりあげてますが、ただ好きだからだけではないんです(笑)。オフシーズンの食事もめちゃくちゃ考えていました」

「毎日のミーティングはどういう姿勢で臨めていたかも振り返りました。それまではバラバラでてきとうに座っていたけど、いまは一番前のど真ん中です。SOでゲームを作る立場なので、先頭にいないとダメだよなと。いまは遅れてきてもそこは空いてます。
 発言もすごくするようになりました。出られていない時は、ほとんど聞いてるだけでした。誰かが言ってくれるだろう、となってました。でもいまは準備をしっかりできているからちゃんと発言できる」

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