国内 2023.04.08

ライナーズ初勝利へ。「タフ」な舞台で高めたい「遂行」する力。

[ 向 風見也 ]
ライナーズ初勝利へ。「タフ」な舞台で高めたい「遂行」する力。
今季初勝利、そしてディビジョン1残留へ向け結束を強めていく花園近鉄ライナーズ(C)JRLO


 今季のリーグワン1部にあって、花園近鉄ライナーズは唯一、勝ち星のないまま第13節まで消化した。

 4月8日は現在2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイとぶつかる。場所は敵地の東京・スピアーズえどりくフィールド。すでに進出が決まっている下部との入替戦へ、飛躍のきっかけをつかめるか。

 チームは陣地を問わずに攻めるスタイルを目指すが、セットプレーのボール確保、プレーの正確性の維持に苦労している。防御も課題となり、時折、大量失点を喫する。

 水間良武ヘッドコーチが厳しい口調で「きょうも規律の部分が悪く、シンビン(一時退出処分)を2枚も出してしまって…」と切り出したのは、3月17日、東京・秩父宮ラグビー場でのことだった。

 この夜、東京サントリーサンゴリアスとの第12節を12-64で落とした。指揮官の言葉通り、優勝候補を相手に長らく数的不利を強いられた。

 何より、強敵に歯向かう意思が見られなかったのが残念だったという。

「スイッチを切る部分が多くて。相手が(ラインアウトから)クイックスローをしてくる。それに全然、準備ができていない。自分たちはそこ(反応)を強みにしているのに、それを出せなかった。まだまだマインドセットが足りない。変わらないといけない。次に進んでいくために、自分で考えて、次につなげていけるよう、進みだせるようになってもらうしかないですね」

 選手にも直接、喝を入れたようだ。FBの竹田祐将はうなずく。

「『そのタックルはポジティブなのか、怖がっている部分はないか』という指摘があった。真摯に受け取る。修正するための愛のムチだと思うので、それを今晩のレビューから見直していけたらいいです」

 以後も黒星を重ね、いまに至る。サンゴリアス戦の直後、竹田は組織的な改善点も指摘していた。

「自分たちのディフェンスはいま整えているところですが、それが、(相手を止めるレベルに)届かなかった。チーム、個々とも、もうひとつ、ふたつ、レベルアップしないといけない」
 
 故障者の続出にも泣く。

 昇格した際の司令塔だったSOのクウェイド・クーパー、さらにはクーパーに叱咤激励されながら成長したWTBの片岡涼亮が、いまだ出場できずにいる。日本代表でWTBのシオサイア・フィフィタも、2試合連続で離脱中だ。その他、序盤に奮闘していたバックローのジェド・ブラウンも復帰が待たれる。

 サンゴリアス戦後の時点で、竹田は「けが人が増えたことで練習がライトになっている。それが(試合内容に)つながっている可能性もありますが…」と前置きし、なんとか前を向く。

「フィールドに立つ以上は、100パーセント(の状態に)持ってこないといけない」

 就任2年目の水間は、無形の力を貴ぶ。

 以前、ミーティングの開始時間に遅れた主力候補がいた際、一切の言い訳を受け入れずに周りに示しをつけた。それから当該の選手はオンタイムで集まるようになったという。

 力を発揮できぬ集団にありがちな弛緩した空気を避けたい思いこそあれど、いざ1部の舞台に足を踏み入れれば「タフですね」。競技力の側面で、ただただ脱帽する。

「毎試合、毎試合、コンタクトの強度が高く、我々はそれに対して、同じメンバーで戦えるだけの準備ができていなかった。チームとしてトップ4以上という目標を掲げていて、それを達成するには自分たちでベストを超えないといけないと話しましたが、選手はそれをやってこなかったというか…できなかった。私の読みが甘かった。私の判断ミスです。そして選手にいま、つらい思いをさせている。ただ過去は過去。変えられない。チームがよくなるよう、いまできる手を打っているところです」

 主将でFLの野中翔平は、こう述べていた。

「コーチに示していただいているライナーズのラグビーという大枠は間違っていないと信じています。ただ、それを遂行できているパーセンテージが低い。まず、そこ(目指すスタイル)を本当に皆が理解できているのか、理解していても100パーセント(の精度)に持っていけていない原因は何なのか(を考えたい)。インディビジュアル(個人のエラー)の問題を組織としてどう解決するかも、(主将の)僕の課題だと思います」

 まずはスピアーズ戦で抵抗を重ね、進歩した実感と白星をつかみたい。

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