関学破り7年ぶりの3勝!摂南大は入替戦もバッチコイ。
「歴史を作ろう」
キャプテンがそう呼びかけて、この試合に向けた準備が始まった。
12月3日、関西大学Aリーグの最終節が花園ラグビー場でおこなわれ、摂南大は関西学院大を31-25で破った。
2節前の関大戦での今季初勝利、前節の立命大戦での勝利に続き3勝目を手にした。
SH藤谷龍哉主将は胸を張る。
「(Aリーグで)3勝するのは7年ぶりです。大学選手権に出場した13年前が5勝、その前の年が3勝でした。僕らは目標の選手権出場は叶わなかったけど、7年ぶりの3勝という歴史を作ろうと話しました」
前半は取られたら取り返す、一進一退の攻防となった。
先制トライは摂南大。ラインアウトのスローが乱れるも、そこで逆に空いたギャップをSO大津直人が突破した。
自陣からでも積極的に展開する摂南大は、7分にも相手反則で敵陣22㍍ライン内に侵入。モールを押し切って14-0とした。
完璧な立ち上がりだったが、以降は関西学大が自分たちの時間を作る。スクラムで優位に立ち、SO泉谷尚輝のキックでエリアを進めると、13分には連続攻撃から最後はFB武藤航生が、19分にはFL國本周亮がトライを奪って2点差とした。
しかし互いにPGを加えた29分、摂南大のエースWTBマイケルズ・カストンがキックオフでこぼれたボールを好捕。そのまま走り切って摂南大が再びリードを広げた(24-15)。
3点を返されて迎えた後半7分には、敵陣22㍍内のアタックからCTB東将吾が突破し13点差とする。
以降、無得点に終わった摂南大だが、進化を示したのはこのあとの時間帯だった。7分ものロスタイムを消化しノーサイドの笛が鳴るまで、ほとんどの時間を自陣で過ごしたが、耐え忍んだのだ。
「摂南の悪いところで、これまでは攻められるとシュンとなってしまっていた。ですが今日は相手がビビるほどのパッション、勢いを見せようと。押し返そう、ハードワークをしようという声かけがたくさん飛んでいました」と藤谷主将は振り返る。
懸命なディフェンスは相手の度重なるミスを生んだ。関西学院大は焦りからか、タッチに蹴り出すミス、ラインアウトでのスローミスが相次ぎ、ついには優位に立っていたスクラムでも反則を取られた。
最後の最後(47分)にトライを奪うも、摂南大が逃げ切るには十分だった。
瀬川智広監督は「これからの摂南にとって非常に大きな勝利だった」と話す。
「かねてより摂南大学は勢いに乗れば良いラグビーができる。ただし戦略的に勝ち星を重ねることが苦手というか、そうしたことがまだまだできていませんでした」
指揮官は10月上旬の同志社戦の1週間前から、指導法に変化を加えていた。コーチ主体の練習から選手主体の練習に移行。メニューの作成を選手たちに一任し、自分たちの課題は何か、そのためにどうすればいいのか、勝つためには何が必要かを考えさせた。
「同志社戦での会見でも話しましたが、私自身は同志社にも負けないくらいのチームだと思ってます。ただ学生たち自身はその自信を持っているのかなと。私は勝利をプレゼントすることはできません。彼らが自分たちの掴み取るしかない。そこでそれまでは私が笛を吹いて、ああだこうだとやっていましたが、一歩下がろうと思いました」
開幕から4連敗と負けが続くも、5節から連勝。「2つ続けて勝てたことは大きかった。チームとしてはいけるぞという手応えを掴んできました。そしてこの勝利で確信した」と話す。
「試合に出ていない選手たちも試合に出たい、摂南のジャージーを着たいと思えるような雰囲気を、この数日間ずっと感じていた」と感慨深げだった。
結局、第2試合で立命館大が関大を45-14で破り、摂南大は7位で入替戦の出場が決まった。それでも、藤谷主将は自信に満ちていた。
「僕たちはまだまだいけます。もう1試合あったとしても、しっかりパッションを持ってやりたい」
摂南大にとって大体大との入替戦は、単に昇降格を争う一戦ではなく、さらなる成長を披露する舞台になりそうだ。