東京学芸大11年連続で瑞穂へ 2022地区対抗関東1区決勝
毎年1月、愛知・瑞穂ラグビー場で開催される「全国地区対抗大学大会」。関東1区は12月4日に代表決定戦をおこない、リーグ戦1位の東京学芸大が2位・東京都市大から10トライを奪い56-19(前半29-0)で圧勝し、11年連続の切符をつかんだ。学芸大は第73回となる全国大会で3大会ぶりの全国制覇を狙う権利を獲得。
試合は前半から学芸大が「ハイパントとエリアを取る長いキックを使い分けるプラン」(学芸大・岩本悠希監督)がおもしろいようにはまった。特にハイパントは都市大に取らせるとすぐにディフェンスが圧力をかけてノットリリースなど反則を誘引した。
4分、都市大10メートルでPKを得ると、タップからつないで右WTB園田啓太(大学院1年、八王子)が先制トライを決める。コンバージョンはFB岡田喬一(3年、桐蔭学園)が外すも、岡田のフィールドのキックは好調。チャンスをお膳立てし続けた。
14分には敵陣、右中間からのアタックでフェーズを重ね、NO8竹田星哉(2年、狛江)が右隅に仕留めた。スクラムも好調。27分には押し込むと徐々に前進し、ラックからLO安達航洋(3年、桐蔭学園)がボールをもらいインゴールへ運んだ。190センチの4番・安達は、5番をつけた187センチの兄・拓海(大学院1年、桐蔭学園)とともにツインタワーでマイボールラインアウトを確実に獲得。敵ラインアウトも前に構えてスチールする場面も見せた。
31分にはロングキックを都市大が拾おうとしてミスし、タッチへ出す。ゴール前5メートルで学芸大ボール、すぐにボールを入れると、主将のCTB梅本魁成(4年、北見北斗)が受けて4本目のトライを奪った。その後1トライ加え、29-0と大きくリードをした。
都市大も前半から、リーグ戦の学芸大戦(10月30日、13-51で敗戦)では欠場したHO鎌田翔馬(3年、関東学院六浦)、主将でアウトサイドCTBの田辺航太郎(4年、國學院久我山)らゲインを切れるランナーにボールを集め学芸エリアへ入るも、得点できなかった。
後半は開始から学芸大ゴール前へ。2分、4分とゴール前ラインアウトを得るも、投入ミスやノットリリースでチャンスをつぶした。10分にはハーフライン、左ラインアウトを学芸大に奪われると、学芸大CTB梅本が左中間へ自身2本目のトライ。流れを戻す。3分後にも都市大が左PR軽部秀斗(2年、千葉日大一)がゴールライン前まで持ち込むもボールがこぼれる。学芸大FB岡田が80メートルほど独走し、ラストパスは左WTB光宗竜助(3年、都青山)に渡った。39-0に。
15分、都市大が敵左隅ゴール前のラック。高校時代は柔道部の右PR桑田健(3年、広島・盈進)がいかにもPRらしい突進で初トライを決めた。
学芸大がそれでも2トライで12点を追加。
しかし、少し勝者に余裕が出たか。都市大キーマンHO鎌田が32分は左ライン際、39分は右ライン際で快走し連続トライ。「ハーフタイムにも2人に注意しようと話していたがやられた」(学芸大・岩本監督)と瞬間の緩みをついた。
それでも、最後は途中交代の学芸大SH長谷川陽生(3年、都武蔵)がインゴールへ10本目のファイブポインターとなり、56-19でしめた。
梅本主将は「(後半、都市大の逆襲に)勝ちをつかんでいるときに、次を見据える戦いをしようと確認した。全国では2年連続、学芸にとって大会の初戦で負けています。優勝を狙うためにも必要」。岩本監督は「どこが相手でも学芸のラグビーで初戦を勝つ。ディフェンスを鍛錬しなおしたい」。自らへのフォーカスで課題が見えている。
都市大は、旧・武蔵工業大時代以降、1995年度から2007年度まで13回連続で関東を制し全国へ。その間は実に優勝6回、準優勝2回を誇る。最後の全国は2011年度で準優勝だった。しかし今年も学芸大に阻まれた。「学芸のキック、都市大バックス3(WTB、FB)が全員1年生、そこにつけ入れられました。対応が遅くターンオーバーや得点をされた。ロースコアで行こうとしたが叶わなかった」(椿原徹也監督)。来季は23人の部員中、5人ほど抜ける。「厳しいですが、大学からラグビーを始めようという未経験も勧誘していきたい」。