伝統の早明戦に3万5438観衆。序盤に集中力見せた明大が35-21と早大を破る。
紫紺と赤黒の糸は、時代を超えていつももつれる。
2022年12月の第一日曜日(4日)も例外ではなかった。
9年ぶり(2013年以来)の国立競技場での開催。新しい国立競技場では初めてとなる早明戦は、35-21のスコアで明大が勝った。
最終的には差が開くも、選手たちは緊張感の中で80分を戦った。
関東大学対抗戦 Aでこの試合の前まで、ともに5勝1敗。勝ち点差で明大が2位、早大が3位という状況だった(明大24、早大23。すでに7戦全勝の帝京大の優勝は決定済み)。
早明戦の結果により、明大が2位、早大が3位で対抗戦Aの全日程を終えた。3位の早大は12月11日の全国大学選手権3回戦で関東大学リーグ戦3位の東洋大と戦う(秩父宮ラグビー場)。
その試合の勝者は、12月25日の準々決勝で明大と顔を合わせる(秩父宮ラグビー場)。
明大のキックオフで始まった伝統の一戦には、3万5438人のファンが足を運んだ。
先制点は前半1分だった。
明大は敵陣22メートルライン付近、右のラインアウトから展開。中央ラックからSH萩原周がサイドを突いてHO松下潤一郎につなぎ、ゴール前まで前進。最後はSO伊藤耕太郎→CTB齊藤誉哉(この試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出)でインゴールに駆け込んだ。
明大は8分過ぎ、ふたたびラインアウトから攻め、今度はフェーズを重ねた。早大の粘り強い守りにあうも、12フェーズ目に右サイドを攻略してWTB石田吉平主将がインゴールに入る。
22分にもラインアウトから攻め、SO伊藤の仕掛けにFB安田昂平が反応してトライラインを突破した。
CTB廣瀬雄也がすべてのコンバージョンキックを決めて21-0と大きくリードを奪った。
序盤は一方的に明大が加点する展開も、反撃の機会をうかがっていた早大は前半27分にトライを返した。
明大の攻撃を止めて反則を誘い、PKで前進。ラインアウトから中央ラックを作った後、BKラインが左にハンズで攻める。
最後はWTB松下怜央が左タッチライン際を走り切った(CTB吉村紘のG成功)。
早大は前半終了間際にも追加点を奪った。
敵陣深くで得たPKの機会にスクラムを選択して右に攻める。SO野中健吾がインゴールに転がしたグラバーキックをFB小泉怜史が抑えてトライ。吉村のゴールキックも決まった。
21-14と明大のリードで始まった後半。先手を取ったのはふたたび紫紺のジャージーだった。
3分、CTB齊藤がインターセプトから約50メートルを走り切る。廣瀬のゴールキックも決まり、28-14と差を広げた。
その後もトライを取り合った。
23分、早大はラインアウトからボールをはやく、大きく動かして右サイドを攻め、WTB槇瑛人が走り切った。吉村のゴールキックも決まり、再び7点差とした。
勝負は、後半34分の明大のトライで決まった。スクラムで得たPKを早大陣深くに蹴り込むと、ラインアウトからFWでトライラインに迫る。
SH萩原がパスアウトしたボールを受けた途中出場のSO池戸将太郎がゴールポスト下にボールを置いた。廣瀬のゴールキックも成功し、35-21とファイナルスコアを刻んだ。
早大も最後の最後まで動き続けた。フルタイムのホイッスルが吹かれた時、場内の時計表示は49分10秒。最後にスコアは14点差と開いたものの、結果的に7点差以内の時間も少なくなかった。
両チームの反則とミスも目立ったのは事実だ。しかし互いにそれぞれのチームカラーを示し、積み上げてきたものを出し合った。
勝った明大の石田主将は、「あとさき考えずに、この試合に集中して準備をしてきました」と話した。
大学選手権につながる勝利と話したが、「誰も(結果を)喜んでいない。次の試合に向けて精進したい」と気持ちを引き締めた。
早大の大田尾竜彦監督は、「最初の10分間に圧を受けて主導権を握られてしまった」と悔やむも、試合ごとに修正されている点もあることを前向きにとらえた。
次戦(12月11日)で対戦する東洋大について「規律が高いチーム」と警戒し、最初から集中していくことが大事と選手たちに話した。