国内 2022.11.07

【関東大学対抗戦A】明大、帝京大がパワー全開、全勝守る。慶大、早大に快勝。

[ 編集部 ]
【関東大学対抗戦A】明大、帝京大がパワー全開、全勝守る。慶大、早大に快勝。
パワーあるFWを動かした明大SH萩原周。(撮影/松本かおり)
帝京大HO江良颯は、チームにモメンタムを与えるプレーを何度もした。(撮影/松本かおり)



 黒黄にも赤黒にも好タックルはあった。
 しかし紫紺と真紅のジャージーは、それを突き破って得点を重ねた。

 11月6日に熊谷ラグビー場でおこなわれた関東大学対抗戦Aは、明大×慶大が54-3、帝京大×早大が49-17。大きく差が開く試合となった。

 約7000人のファンが見つめる中で行われた両試合。第1試合では明大が8トライを奪った。

 明大の先制トライには、この日の攻防が集約されていた。
 前半8分、HO松下潤一郎がインゴール右に飛び込む。スクラムで得たFKから始まった攻撃だった。

 FWが力強くタテに出るプレーを繰り返す。機を見てSO伊藤耕太郎が左右に仕掛け、パスを送る。15フェーズを重ねて攻め切った。
 その間、慶大の好タックルが何度もあった。しかし、ボールを奪い取れなかった。

 20分、慶大SO中楠一期のPGで差は縮まるも、24分には明大がふたたびトライラインを越えた。

 ラインアウトからのアタックで、それぞれが高い能力を出して大きくボールを動かす。最後はCTB齊藤誉哉(ゲームキャプテン)が外への加速でディフェンダーを振り切り、FL森山雄太にパス。背番号6が右隅にボールを置いた(12-3)。

 この後も35分、39分とトライを重ねた明大は、26-3として前半を終えた。

 後半も紫紺のジャージーの勢いは衰えなかった。
 3分、慶大のショートパントを受けたところから始まった攻撃でいっきに攻め切る。FB安田昂平が駆け上がり、短いパント。それをWTB秋濱悠太が確保し、サポートのNO8木戸大士郎がトライ(Gも決まり33-3)。
 22分、26分、46分にもトライを追加し、ビッグスコアで伝統の一戦を制した。

 試合後の慶大FL今野勇久主将は、悔しさにまみれていた。「本当に悔しい」が第一声だった。
 SO中楠は、「結果がすべて。負けたことが今日のすべてだと思います。難しい試合になることはわかっていました。今日の試合について恥じることはありません。シーズンは続くので、自分たちのいいところ、悪いところを見つめ直し、いい試合ができるようにしたい」と前を向いた。

 明大のゲームキャプテンを務めたCTB齊藤は、慶大がタフな相手と認識して準備を重ねた結果、「FW、BKとも1対1で上回れた」と快勝の80分を振り返った。

 第2試合では、帝京大の力強さが印象的だった。
 赤いジャージーは、試合序盤からフィジカリティで上回った。

 先制は前半3分。キックカウンターから攻撃は始まった。
 SO高本幹也を中心としたBKがボールを左右に動かし、FWが激しく前に出る。早大の好タックルにも攻撃を持続し、10フェーズを重ねてCTB二村莞司がインゴールへ駆け込んだ。

 その後も帝京大はセットプレーで優位に立ち、ゲームの主導権を握り続けた。
 しかし、追加点を奪ったのは25分。HO江良颯のトライ、高本のGで14-0とする。
 早大の激しさと粘りのある防御を受け、なかなかスコアを重ねられなかった。

 そんな中で、34分にはキックチャージから早大にトライ(WTB槇瑛人)を許して7点差に迫られる。
 攻めても攻めても離れない点差に、嫌な空気が流れてもおかしくない展開だった。

 しかしCTB松山千大主将は「自信が揺らぐことはなかった」とチームの心理状態を語った。
 その言葉通り前半終了間際にトライを追加し、21-7としてハーフタイムを迎えた。

 後半の先手も帝京大が奪い、勝敗の行方に大きな影響を与えた。
 赤いジャージーの安定感はハーフタイム後もそのまま。早大の反則からチャンスを掴むと、ラインアウト→モールでHO江良がインゴールに入った(Gも決まり28-7)。

 その後も早大の抵抗は弱まらず、21分には7点を返された。しかし、帝京大の迫力も衰えることなく、後半30分過ぎからさらにギアを上げた。終盤に4トライを重ねて最終スコアは49-17。

 相馬朋和監督は「いい試合ができた。想定していた通り、早稲田はプレッシャーをかけてきて、いいタックルがたくさんありましたが、それに負けず、頑張った学生たちを誇らしく感じました。次につながる試合」と笑顔を見せた。

 松山主将も「80分間、粘り強く、自分たちのラグビーをし続けることにフォーカスした」と話し、HO江良は「最後まで動き続けられた結果」と胸を張った。

 早大の相良昌彦主将は、「今季いちばんのプレッシャーを感じた試合」と話し、勝者を称えた。
 大田尾竜彦監督は、ラインアウトの不安定さとSHからのキック後にうまくゲームを運べなかったところに敗因の一つがあったと語った。
 しかし、「いままでやってきた準備に自信を持ちながらチーム作りを進めていきたい」と先を見た。

 この日の結果、関東大学対抗戦で全勝を維持しているのは帝京大と明大(5勝/勝ち点は帝京大=25、明大=24)。
 慶大と早大が1敗で続いている(ともに勝ち点19)。


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