【フランス代表】デュポンとンタマックが操る。ワラビーズ戦メンバー決まる。
フランス代表チームにとっての今年のオータム・ネーションズシリーズのオープニングとなるオーストラリア戦(11月5日/土。午後9時キックオフ/日本時間11月6日 午前5時キックオフ)のメンバーが発表された。
予想通り、今年のシックスネーションズのメンバーが中心となった。
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ガルチエ体制初代キャプテンのシャルル・オリヴォンと、オリヴォンが負傷していた期間キャプテンを務めたアントワンヌ・デュポンのどちらが今回キャプテンに任命されるのか注目されていた。
「このチームの6人のリーダー(デュポン、オリヴォン、フィクー、アルドリット、マルシャン、ジュロン)と数か月話し合ってきた。その結果、今回のオータム・ネーションズシリーズでのキャプテンはアントワンヌ(デュポン)になった。ただそれだけのことで、この件についてあれこれ語るよりも、注目すべきはリーダーたちが個性を発揮してお互いに補完し合っているところであり、このプロジェクトの成功の一面が見られる」と説明したのはラファエル・イバネスGMだった。
9月11日に足首を負傷してから試合に出場していなかったロマン・ンタマックは、代表合宿では初日から背番号10のついたビブスを着て練習していた。オーストラリア戦でもデュポンとHBコンビを組み先発出場する。
「ロマン(ンタマック)は試合をしていないが、2週間の代表合宿で、試合よりも速く強度の強い妥協を許さない練習をし、彼の状態や感覚の戻り具合を見てプレーできる状態だと判断した。彼も、また彼と一緒にプレーするチームも準備はできている」とファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下HC)は説明した。
7月の日本戦にも出場していたPRジャン=バティスト・グロが代表合宿直前のトップ14の試合で負傷、またレダ・ワーディーはレッドカードで退場、3週間の出場停止となり、召集されていた左PRが2人も秋のテストマッチに参戦できなくなってしまった。
そんな状況の中で、シリル・バイユが急遽復活した。バイユは8月に太腿の手術を受け、大事をとって今大会は欠場と言われていたが、10月29日にトップ14で34分プレーし代表合宿に合流した。代表チームの窮状を救うため急ピッチでリハビリを仕上げたのではと言われている。
記者からの「リスクがあるのではないか」という質問に対して、「確かにリスクはある。ラグビーは格闘技だ。コンタクトもある。また持久力も必要。シリル(バイユ)は先週トップ14の試合に復帰し、今週代表チームの練習で先発メンバーとしてプレーするために必要な項目をクリアした。本人とスタッフ全員の合意の上でこの挑戦を決めた」とガルチエHCは答えた。
昨年7月のオーストラリア戦から代表15番に定着していたメルヴィン・ジャミネの負傷欠場で、トマ・ラモスがチャンスを掴んだ。
ラモスは所属クラブのトゥールーズでこの数シーズンとてもいいパフォーマンスを続けており、ゴールキックの成功率も高い。またンタマックが負傷してからはSOでプレーし、トゥールーズの好調に大きく貢献。今季ここまでのトップ14で最も活躍しているSOとも言われている。
しかし、代表では召集されてもプレー時間に恵まれず、ガルチエ体制になってからスタメン出場は1度だけで、現地の識者の間では「ラモスにチャンスを与えてもいいのでは」という声も多かった。
「このチームではスターティングで出場する機会はほとんどなかったが、それはアントニー・ブチエ、ブリス・デュラン、メルヴィン・ジャミネのパフォーマンスが良かったから。それでもトマ(ラモス)はユーティリティープレイヤーだということと、トゥールーズで一緒にプレーしているデュポンと息が合っていることから、全勝優勝したシックスネーションズではFW6人とBK2人で構成されるリザーブメンバーに入っていた。今季のトゥールーズでのパフォーマンスと代表合宿での練習で今回チャンスを掴んだが、トップ14とテストマッチはレベルが違う。練習で見せているパフォーマンス、才能、クオリティーを試合で発揮しなければならない。彼にとって大切なチャレンジになる」と言うガルチエHC。ラモスにとって重要な一戦になりそうだ。
赤いヘッドキャップで毎試合闘志あふれるプレーを見せてくれるWTBギャバン・ヴィリエールも負傷で出場できない。代わりに7月の日本戦でも活躍していたヨラム・モエファナがダミアン・プノーと両翼を担う。
今週の練習でLOポール・ヴィレムセも負傷し、2〜4週間グラウンドから離れることになった。次週は彼の母国である南アフリカとの対戦が予定されている。本人にとっても残念なことだが、フィジカルの強いヴィレムセを失うチームにとっても辛いところだ。
夏の日本戦にも出場していたチボー・フラマンがヴィレムセに代わってカメロン・ウォキとLOを組む。
「ポール(ヴィレムセ)にとっても、チームにとっても残念なことだが、このような出来事も乗り越える訓練をしなければならない。チボー(フラマン)はポールとは異なるタイプの選手だが、日本戦では40度の気温で右LOで、しかも2戦とも80分プレーした。ポールと似たタイプのロマン・タオフィフェヌアは後半に入るFWのリーダーとしての役割を果たしてもらう」と前後半のバランスを考えた上での選考だと説明した。
「試合のラスト20分はこのチームが経験してきた中でも最も難しいゲームになるだろう。フランスはオーストラリアにはほとんど勝てていない。オーストラリアはワールドカップで2度、優勝もしている。彼らにはカルチャーがあり、クリエイティブでありながらも屈強でもある。オーストラリア人はカウボーイだ、彼らのラグビーにはタブーはない。20点リードされていても逆転することができるチームだ」と言うのがガルチエHCの見るワラビーズだ。